Q SIRVAは稀なことですか?

SIRVAという概念は、新型コロナウイルスワクチン接種以前から存在していたものですが、明らかに新型コロナウイルスワクチン接種開始後にご相談いただく方が増えています。割合などは今後明らかになっていくと思いますが、稀なことではありません。最近では、帯状疱疹ワクチン後のSIRVAについてご相談いただく方も増えています。一定の頻度で起こることですが、過剰に心配したり接種事態を否定するのではなく、そのメリット/デメリットを正しく理解したうえで受けていただき、不幸にも起こってしまった副反応/後遺症については適切に対処していくということが重要だと思います。

Q 私が受けたのは新型コロナウイルスワクチンではなく、帯状疱疹ワクチンですが、帯状疱疹ワクチン接種後にもSIRVAは起こるのですか?

帯状疱疹ワクチン接種後にも起こります。他に子宮頸がんワクチン接種後などの報告もあります。肩に筋肉注射により接種するワクチンにおいてそのリスクがあるとお考え下さい。

Q 受診した医療機関では五十肩と言われSIRVAについて聞いても首を傾げられました。

新型コロナウイルスワクチン接種という国の一大事業により、ワクチン接種後の肩の痛みを訴える方が実数として増えたことでだいぶ認知されるようになってきましたが、まだまだ医療関係者においても浸透していないのが実情です。症状や検査所見は五十肩と類似していますので、そのように説明されることも少なくありません。

Q 五十肩と言われ痛み止めやリハビリをすすめられましたが大丈夫ですか?

今のところはSIRVAに特化した治療方法があるわけではありませんので、一般医療において五十肩と対処法が大きく異なるわけではありません。どちらの疾患も腱板断裂などの大きな組織損傷はありませんので、治療としては炎症を鎮めて痛みを改善させること、およびリハビリを通じて、拘縮予防や運動機能の維持・向上を置こうことに主眼を置かれます。より積極的に炎症を強力に鎮める治療方法として、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対するカテーテル治療(微細動脈塞栓術)があります。

Q 五十肩とSIRVAはどんな違いがありますか?

成り立ちは全く異なるものの、どちらも検査所見や症状が類似しています。『夜間痛』『可動域制限』『経時的な症状の悪化』が五十肩の特徴ですが、SIRVAの場合、夜間痛や可動域制限はみられるものの、特に滑液包に誤って薬液が注入されたことが原因で起こるSIRVAの場合は、強い炎症を反映して比較的早期から強い痛みを伴います。一方、注射部位の問題ではなく薬剤に対する反応が同様の肩関節周囲炎を引き起こしている場合は、五十肩に類似した経過となることもありますが、可動域制限がそれほど高度でなくても、(人によっては全く支障なく動かせていても)強い不快感が生じるなど症状の幅が広い印象があります。また、脇や腕の症状を強く感じている方も多いです。一般的な対処法に大きな違いはありません。モヤモヤ血管に対するカテーテル治療の場合も、モヤモヤ血管の見え方などに違いがあることもありますが、基本的には同様の治療を行います。いずれも複数回の治療を要することは稀であり、有効性が高く、再発はほとんどありません。

Q SIRVAを早く治す治療はあるのでしょうか?

近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。血管の分布に沿って広い範囲の炎症を鎮めて、かつ血行を改善する効果があります。腰椎椎間関節や仙腸関節、各筋肉・筋膜、靭帯などに広くかつ深部まで影響を及ぼします。複合的な要因で成り立っているぎっくり腰に対して複合的に作用させるわけです。通常の治療で良くならない場合、再発予防も含めてしっかりと治したい方は検討されるとよいでしょう。

Q モヤモヤ血管に対する運動器カテーテル治療は、新型コロナウイルスワクチン接種に係る健康被害救済制度について適用されますか?

自費診療は全般的に適用されないようです。愛知県におきましては、自治体からも実際にそのように通達がありました。

Qまだ痛みが残っているのですが、追加接種は反対の肩にした方が良いですか?

接種後に痛みが生じてしまうことは常に一定の確率で起こり得ることです。まだ痛いのに反対の肩まで痛むようになると、両腕が不自由になり大変辛いと思います。一方、まだ痛みが残っているということは一定の炎症が残っている可能性があるため、ワクチン接種によりそれらが賦活化されてさらに痛みが強くなってしまうということも起こりえます。両側上腕以外の選択肢として、お尻(臀部)に射つという方法もあります。これらのことをよくお考えいただいたうえで、最終的には患者様ご自身の判断で決めていただくよう当院ではお話しています。

Q運動器カテーテル治療後(微細動脈塞栓術)に改めてワクチン接種を受けた場合、もうSIRVAにはなりませんか?

カテーテル治療後は血管の中から直接アプローチしますので、自然の経過よりも病的新生血管を大幅に減少させます。放置しておいた状態で追加接種を受ける場合と比較すると、SIRVAになるリスクは大幅に減らせるとは思いますが、病気の成り立ちを考えると、やはり接種機会毎に一定の発症リスクがあると言わざるを得ません。

Q SIRVAは肩の痛みだと思っていましたが、ワクチン接種後に肩だけでなく、首や肩甲骨、脇や腕、手首などにも痛みが出ます。これはSIRVAとはまた原因が異なるのですか?

SIRVAの診断に至る方が、脇や上腕、前腕、手首にも広く強い痛みを感じているということは少なからず経験します。肩関節に起きた激しい炎症が波及した結果として脇や上腕に痛みを強く感じるということは良く経験しますが、その場合は肩関節に対する運動器カテーテル治療を行えば事足ります。一方、ワクチンの薬液に対する異常な免疫反応が上腕だけでなく前腕や手首に及んでいる場合があります。その場合は、それぞれの疼痛部位に対する直接の治療も検討されます。首や肩甲骨の痛みについては、元々中等度以上の首肩こりや頸椎症を抱えている方が多く、ワクチン接種によりそれらの慢性疼痛が助長される、あるいはSIRVAの強い痛みによりストレスホルモンが過剰に分泌されたことで、首肩の高度の筋緊張が持続することなどにより起こっていることがあります。その場合、首肩こりの部位に対する治療を併せて行うことがあります。

Q SIRVAと診断されましたが、肩というよりも腕が特に痛いです。肩の治療だけで治るのでしょうか?

上腕の症状であれば、多くの場合肩関節の強い炎症の影響であり肩の治療で改善が十分期待できます。前腕に及んでいる場合は、頸椎症など肩関節以外の原因の可能性も検討することになります。

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