首こりとは何ですか?

頸性筋症候群とも呼ばれるような首周りの筋肉の異常が首の痛みの原因です。その他、頸椎椎間関節の炎症や頸椎における神経の障害(神経根症状など)も首の痛みの一因と考えられています。筋肉が異常に硬くなったり動きが悪くなったりすることで周囲の神経を圧迫したり、いわゆるストレートネックも含めた頸椎の変形から炎症や神経の障害が生じることで前述のような首の痛みが出現します。軽い内であれば負担をかけずに過ごしていれば自然に治りますが、長い間続くようになると、そこには病的新生血管(モヤモヤ血管)が関与することがあります。そうなると、リハビリや注射治療など、何をやってもよくならない状態に陥りますので、病的新生血管に対するアプローチが必要です。どの痛みも同様ですが、特に首の痛みは放っておくと、首にとどまらず全身の様々な症状をきたし、うつ状態や意欲減退も合併することがあるので早めに対処することが重要です。

どうして首こりになるのですか?

『パソコン作業』『デスクワーク』『スマートフォン:スマホ首(いまや国民病ですね)』『不良な姿勢による過剰な家事』『農作業』『介護』『育児』『枕が合っていない』。首の痛みの原因をいくつか列挙しましたが、要は、前傾姿勢・同じ姿勢を長く続ける・首を冷やす、緊張させる・過剰な荷重をかける、あるいは繰り返しの負担をかけ続ける。などが首の痛みを出現させます。

首こりにはどんな症状がありますか?

『首を回せない(硬くて、あるいは痛みで)車の運転で後ろを向くのがつらい』
『首が重い』
『いつも前傾している』
『首から肩、腕にかけて重い、痛い』
『首周りを押すと痛い。最初は押すと痛気持ちいい感じだった。』
『首にマッサージを受けてかえって痛くなった』
『頭痛や吐き気、軽い手のしびれをともなうことがある』
『めまいがしたり、フワフワ感がある』
『目が疲れやすい』 『疲れやすい、身体がだるい』

首こりにはどんな治療がありますか?

鍼、灸、マッサージ、牽引療法、注射療法(ブロック注射、ステロイド注射、リリース注射) 理学療法(リハビリ)が一般的です。いずれも効果は限定的ですが、最近注目されている治療として病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する治療があります。運動器カテーテル治療という血管の中から痛みにアプローチする方法です。

首こりでマッサージを受けています。注意することはありますか?

マッサージや理学療法は、重症でない場合に上手に施術をしてもらえれば首の痛みの軽減が期待できますが、個人の技量により大きな差が生じます。首は様々な筋肉・神経が密集している場所なので、過剰な力を加えたり、無理な可動域訓練を行うことは危険です。特に本人の意図しない方向に力が加わる場合は要注意です。人間は、意識した動きや痛みには一定の抵抗力がありますが、意識できない外力が加わった場合、想像以上に大きなダメージを受けることがあります。当院でも施術を契機に首の痛みが悪化したと言われる方が少なくありません。魔法使いのような優れた柔道整復師や理学療法士の方もおられますが、自身に合わないと思ったら止めた方が賢明です。リラックスした状態で、効果を実感しながら続けられると良いと思います。

首を牽引してから調子が悪いです。

牽引療法はいまだによく行われていますが、科学的に積極的に進められる根拠はありません。率直に言って、首というデリケートな部位において乱暴な治療だと思います。
牽引をきっかけに首の痛みが悪化した人は後を絶ちません。おすすめできないです。

首こりに注射をしてもらうと楽になりますが、すぐに戻ります。

首こりや肩こりは他の運動器疾患と異なり、毎日の日常生活の中に必ず原因があります。絶えず負担をかけ続けているのです。注射はあくまでも局所で起こす一時的な変化ですから、数回注射をしただけで治すということにはそもそも限界があります。あくまでもきっかけ作りとして考えたほうがよいでしょう。一旦楽な状態にして、姿勢や動作、作業の改善などから根本的に治していく必要があります。つらい状態ではリハビリどころではありませんし、首の痛みがとれないとストレスホルモンが出て身体を緊張させることでさらに増悪するという悪循環に陥っています。その連鎖を断ち切ってあげることが重要です。ところが、ある一定以上の重症度になると何をやってもまったく効かなくなります。こうなると医療機関ではよくならないから鍼・灸・マッサージになんとなく通う、あるいは諦めるようになります。 こうした状態でも病的新生血管(モヤモヤ血管)への運動器カテーテル治療は有効です。諦めていた方、とにかく治したい方、早く治したい方はご検討されるとよいでしょう。

首こりを予防するためにはどうすれば良いですか?

正しい姿勢を保つ: 長時間同じ姿勢を続けないようにし、座るときや立つときに正しい姿勢を心掛けましょう。
適切な姿勢の寝具を使用する: 適切な高さと硬さの枕やマットレスを選び、首と背中のサポートを確保します。
適度な運動をする: 首や背中の筋肉を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングを取り入れましょう。
ストレス管理をする: ストレスを軽減するためにリラクゼーション法やストレス解消法を実践し、心と体の健康を保ちます。

首こりを放置するとどんな影響がありますか?

慢性化: 首こりが長期間続くと、筋肉の緊張や不快感が慢性化し、日常生活に支障をきたすことがあります。
頭痛やめまい: 首の筋肉の緊張が頭痛やめまいを引き起こすことがあります。
集中力の低下: 首こりによる不快感や痛み、集中力の低下や睡眠の質の低下につながることがあります。
肩や背中の症状の悪化: 首こりが放置されると、肩や背中の症状も悪化することがあります。

首のモヤモヤ血管治療に興味があります。首にもあるのですか?

あります。CTやMRIではわからないことがほとんどですが、非常に増生されると、エコーやPET検査でも確認できます。最もよくわかるのは血管造影検査です。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

首のカテーテル治療というとこわい気がします。大丈夫でしょうか?

首の血管解剖はより専門的な知識が必要です。脳に向かう血管や脊髄を栄養する血管と選り分けることが必要ですが、十分な知識・技術と経験があれば安全に治療できます。患者さん自身は、治療の最中に首のあたりが熱い、チクチクする、多少の痛みを感じる(再現痛と呼んでいます)程度です。これまで重大な合併症を生じたケースは一例もありません。ご安心いただいて大丈夫です。運動器カテーテル治療は国内外で普及しつつありますが、首のカテーテル治療は経験豊富な医師の元で受けることをおすすめします。

再発予防はどうすればよいですか?

肩こりの項をご参照ください。

鴨井院長が本当に伝えたいこと

首こりは短期間で生じるものではなく、長期間の負担や血行障害の積み重ねで起こるものです。中高年では少なからず誰もが抱えているわけですが、スマートフォンやタブレットの普及により若い方においても急速に増えてきています。運動不足やデスクワークによる影響など現代社会習慣病とも言えますが、新型コロナウイルスがさらに拍車をかけたように思います。首こりと言うと、イメージしやすい一方で何となく軽く聞こえてしまうのですが、全ての神経は脳から頸部を経由して分布しますので、主たる影響は上半身、特に首肩上肢とは言え、時として症状は全身に及びます。また、過緊張が起こりやすい部位ですので、他の部位の強い痛みであっても各種ストレスホルモンの影響から首こりも悪化させてしまい、それがさらに当該部位の痛みを助長するという悪循環が形成されやすいです。首肩の不調や頭痛の他、全身に及ぶよく分からない倦怠感や不快感、線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群などの広範囲に症状がみられるような難治性疼痛には深く関わっていることがあります。当院では、難治性疼痛を打開する糸口の一つだと考えています。全身に及ぼす影響を考えると、首こりに対するモヤモヤ血管治療(病的新生血管に対する微細動脈塞栓術)は非常に効果が大きいと思います。痛みがとれて身体が軽くなったばかりか、よく考えられるようになった、考えを整理できるようになった、意欲が向上したなどと言われることもあり、アンチエイジングの視点からも重要な治療ポイントなのではないかと思います。私自身、ぜひ治療を受けたい部位の一つです。

首こりの実例紹介

 
 

モヤモヤ血管

 

 
 
 

肩・腕・肘・手

 

 

腰臀部股関節

 

 
 

 
 

その他