肩:肩こり・四十肩・五十肩

【60代:女性】片側だけに感じる頭痛および首肩の痛み(首肩こり、頭痛、モヤモヤ血管)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

13年前に交通事故で軽いむち打ちになったことがありました。8年前から左側の首こりを感じるようになり、徐々に増悪してきました。左頸部~肩が常に痛く、痛みが強い時は背骨の辺りまで痛みが強くなり頭痛もしました。右側に痛みを感じることはあまりありませんでした。元々片頭痛はあるものの食いしばりはありませんでした。

診察時の所見

首は、左回旋・側屈動作で中等度以上の可動域制限および痛みがありました。肩こりの程度も比較的高度でかなり硬い状態でした。エコー検査では、頸椎椎間関節に異常血流信号を認めたほか、僧帽筋・肩甲挙筋などに線維化所見を認めました。片側に偏った典型的な重症の首肩こりであり、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

首こりの主要な血管である深頸動脈造影で、モヤモヤ血管が造影剤の濃染像として描出されました。次に、頭痛の治療目的で血管検索を行いました。外頸動脈という頭蓋や顔面に向かう血管は、写真のように、浅側頭動脈、顎動脈、顔面動脈、舌動脈、後頭動脈に分岐していきますが、顎動脈の一部、および後頭動脈にてモヤモヤ血管を認めました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療直後から頭痛が改善しました。治療後2週間では、肩甲骨周囲の痛みがまだ残っていたものの、頭痛が良くなったことでとても楽になり、睡眠もとれるようになってきました。治療後1ヶ月では、やはり肩甲骨周囲の痛みが残っていましたが、姿勢不良や著明な運動不足も原因であったため、運動を取り入れながらもうしばらく様子を見ることとしました。その後ウォーキングなどをしているうちに鎮痛薬もほとんど飲まなくてよくなりました。元々は鎮痛薬を飲んでも効かないくらいの状態でしたので、非常に大きな変化です。治療後3ヶ月、頸部痛や頭痛は引き続き生じることなく調子よく過ごせていました。ある程度安定してきたため、一旦終診となりました。重症の首肩こりは、積年の負担の結果として生じているものであり、単回の治療で全ての症状を改善させることは難しいですが、大幅に鎮めることができれば、ご自身である程度コントロールできるようになります。特に、質の良い睡眠を十分とれるようになると、より安心できます。首こりの治療後のよくある感想の一つに『よく眠れるようになった』と言うのがありますが、まさにそうした症例でした。

首肩こりの詳しい病状説明はこちら

 

関連記事