ハムストリング付着部炎とは

ハムストリング付着部炎とは、太ももの裏側にあるハムストリングスという筋肉が骨盤の坐骨結節(ざこつけっせつ)に付着する部分に炎症や変性が起こる病気です。

医学的には「近位ハムストリング腱症(Proximal Hamstring Tendinopathy:PHT)」と呼ばれることもあります。

ハムストリングスは、

  • 歩く
  • 走る
  • ジャンプする
  • 階段を上る

といった動作で重要な役割を担っています。

そのためスポーツを行う方に多い疾患として知られていますが、近年ではデスクワーク中心の方や長時間座る機会が多い方にもみられます。

特徴的なのは、
「座るとお尻の下が痛い」
という症状です。

腰痛や坐骨神経痛と間違われることも多く、なかなか診断がつかないケースも少なくありません。

ハムストリングスとは

ハムストリングスとは、

  • 大腿二頭筋
  • 半腱様筋
  • 半膜様筋

の3つの筋肉の総称です。
骨盤の坐骨結節から始まり、膝の下まで伸びています。

主な役割は、

  • 股関節を後ろへ伸ばす
  • 膝を曲げる
  • 走る際の推進力を生み出す

ことです。
ランニングやダッシュ、ジャンプなどでは非常に大きな負荷がかかります。

ハムストリング付着部炎の主な症状

お尻の下が痛い

最も特徴的な症状です。
椅子に座ると坐骨部分が当たり、

  • ズーンと痛む
  • 圧迫されるような痛みがある

と感じます。

長時間座れない

  • デスクワーク
  • 車の運転
  • 映画鑑賞
  • 飛行機移動

などがつらくなることがあります。

ランニングで悪化する

走り始めよりも、

  • スピードを上げたとき
  • 坂道ダッシュ
  • 長距離走

で痛みが強くなることがあります。

ストレッチで痛い

前屈やハムストリングスのストレッチをした際に、
もも裏の付け根が強く痛むことがあります。

太ももの裏に痛みが広がる

症状が進行すると、

  • お尻
  • 太ももの裏

へ痛みが広がることがあります。

ハムストリング付着部炎の原因

ランニングの負荷

最も多い原因です。
特に

  • マラソン
  • 陸上競技
  • サッカー
  • ラグビー

などで発症しやすくなります。

柔軟性不足

ハムストリングスが硬い状態で運動を続けると、付着部に負担が集中します。

急激な運動量増加

  • 久しぶりの運動
  • 大会前の追い込み
  • トレーニング強度の急上昇

なども原因になります。

長時間の座位

デスクワークや運転が多い方では、坐骨結節周囲への圧迫が繰り返されることで症状が生じることがあります。

ハムストリング付着部炎になりやすい人

  • ランナー
  • トライアスリート
  • サッカー選手
  • 野球選手
  • ゴルファー
  • デスクワーカー
  • 長距離ドライバー

などが代表的です。

坐骨神経痛との違い

ハムストリング付着部炎は、
しばしば坐骨神経痛と間違われます。
しかし、

ハムストリング付着部炎

  • お尻の下が痛い
  • 座ると悪化する
  • 局所的な痛み

坐骨神経痛

  • 足先までしびれる
  • 神経痛がある
  • 腰痛を伴うことが多い

という違いがあります。

ハムストリング付着部炎の検査

診察では、

  • 圧痛の確認
  • ストレッチテスト
  • 筋力検査

などを行います。
必要に応じて、

  • レントゲン
  • 超音波検査
  • MRI検査

を実施します。

一般的な治療法

安静

まずは負荷を減らします。

リハビリテーション

ハムストリングスや体幹の機能改善を目指します。
近年では運動療法が重要視されています。

体外衝撃波治療

慢性化した症例に行われることがあります。

注射治療

症状に応じて検討されます。

ハムストリング付着部炎は自然に治る?

軽症であれば改善することもあります。
しかし、

  • 半年以上痛い
  • リハビリしても改善しない
  • 走ると再発する

というケースも珍しくありません。

なぜ痛みが長引くのか

慢性化したハムストリング付着部炎では、
単なる炎症ではなく、

  • 腱の変性
  • 慢性炎症
  • 血流異常
  • 神経の過敏化

などが関与すると考えられています。

長引くハムストリング付着部炎とモヤモヤ血管

近年、慢性痛の原因として注目されているのが病的新生血管です。
なごやEVTクリニックでは、この病的新生血管を「モヤモヤ血管」と呼んでいます。

本来、新生血管は組織修復のために一時的に増加します。
しかし慢性的な負荷や炎症が続くことで消えずに残る場合があります。

さらにその周囲には異常な神経が増殖し、

  • 痛み信号を出し続ける
  • 炎症を維持する

可能性があります。

慢性化したハムストリング付着部炎の一部では、このモヤモヤ血管が痛みの原因となっていることがあります。

運動器カテーテル治療という選択肢

なごやEVTクリニックでは、モヤモヤ血管に対して運動器カテーテル治療を行っています。

極細のカテーテルを用いて病的新生血管へ直接アプローチし、慢性的な痛みの改善を目指します。
この治療はハムストリングスそのものを修復する治療ではありませんが、

  • 3か月以上痛みが続く
  • リハビリで改善しない
  • スポーツ復帰できない
  • 座ると痛みが続く

という方の新たな選択肢となる可能性があります。

よくある質問

ハムストリング付着部炎は肉離れですか?

別の病気です。肉離れは急性外傷ですが、ハムストリング付着部炎は慢性的な腱障害です。

ランニングは続けても大丈夫ですか?

症状によります。痛みが強い場合は一時的な運動制限が必要になることがあります。

完全に治りますか?

適切な治療によって改善が期待できますが、慢性化すると長期間かかる場合があります。

長引くお尻の痛みでお悩みの方へ

ハムストリング付着部炎は、スポーツ選手だけでなく一般の方にも起こる疾患です。

特に「座ると痛い」「ランニングで痛い」「治療しても改善しない」という方は、慢性炎症やモヤモヤ血管が関与している可能性があります。
長引くお尻の痛みでお悩みの方は、なごやEVTクリニックへご相談ください。

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