インピンジメント症候群

インピンジメント症候群(Impingement Syndrome)は、肩関節周囲の筋肉や腱が圧迫されることによって引き起こされる症状のことを指します。肩の可動域が制限され、痛みや炎症が生じることがあります。
この症候群は、肩関節を構成する部位のいずれかが圧迫されることで引き起こされます。特に、上腕骨と肩甲骨の間に位置する腱板(supraspinatus tendon)や、上腕骨の頭部と肩甲骨の棘突起(acromion)の間に位置する腱の一部が圧迫されることが多いです。

インピンジメント症候群は、主に以下のような原因によって引き起こされます。
過度の使用
反復的な運動や高負荷の運動を行うことによって、肩関節周囲の筋肉や腱が疲労し、炎症を起こすことがあります。これによって、腱板や腱が圧迫されることがあるため、インピンジメント症候群を引き起こすことがあります。

肩甲骨の位置異常
肩甲骨の位置が正しくない場合、肩関節周囲の筋肉や腱に圧迫がかかりやすくなります。これによって、インピンジメント症候群を引き起こすことがあります。

その他の要因
肩関節の骨や軟骨の異常、肩関節周囲の筋肉や腱の弱点、姿勢の悪さ、肩関節周囲の炎症や緊張など、さまざまな要因がインピンジメント症候群の原因となることがあります。

インピンジメント症候群の主な症状は、以下のようなものがあります。
肩の痛み
上腕骨と肩甲骨の間の腱板や腱が圧迫されることで、肩の痛みが生じることがあります。特に、肩を上げたり後ろに引いたりする動作が痛みを引き起こすことが多いです。

可動域の制限
肩関節周り、筋肉や腱が圧迫されることで、肩の可動域が制限されることがあります。特に、肩を上げたり後ろに引いたりする動作が制限されることが多いです。

炎症
肩関節周囲の筋肉や腱が炎症を起こすことがあります。この場合、腫れや熱感、赤みなどが生じることがあります。

弱い力
肩関節周囲の筋肉や腱が圧迫されることで、肩の力が弱くなることがあります。特に、上腕を肩から離す動作や、肩を前に出す動作が弱くなることが多いです。

インピンジメント症候群は、主に以下のような方法で診断されます。

検査
医師は、患者の肩関節周囲の筋肉や腱を触診し、痛みや可動域の制限などを確認します。

X線撮影
X線撮影によって、肩関節周囲の骨や軟骨の異常が確認されることがあります。

MRI撮影
MRI撮影によって、肩関節周囲の筋肉や腱の異常が確認されることがあります。

インピンジメント症候群の治療方法は、主に以下のようなものがあります。

保存療法
肩関節周囲の筋肉や腱を休め、炎症を抑えることで治療を行う方法です。主に、安静、ストレッチやエクササイズなどが行われます。

薬物療法
炎症を抑える薬や、痛みを軽減する薬などが使用されることがあります。

手術
保存療法や薬物療法で改善しない場合、手術が行われることがあります。手術には、インピンジメント症候群の原因となる部位を切除する方法や、圧迫を解消する方法などがあります。

インピンジメント症候群は、早期に適切な治療を行うことが重要です。痛みや可動域の制限がある場合は、すぐに医師の診断を受けるようにしましょう。また、予防にも努めることが大切です。以下に、インピンジメント症候群の予防方法を紹介します。

適切な姿勢
肩を前に突き出さず、正しい姿勢で過ごすようにしましょう。

適度な運動
筋肉や腱を強化するために、適度な運動を行いましょう。ただし、過度な運動はかえって悪影響を及ぼすことがあるため、適度に行うようにしましょう。

ウォーミングアップ
運動や日常生活で、肩を使う前にウォーミングアップを行うようにしましょう。

適切な荷物の持ち方
荷物を持つ際には、両手で持ち、荷物の重さに応じたものを選ぶようにしましょう。

定期的なストレッチ
肩周りのストレッチを定期的に行いましょう。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢で過ごす場合は、定期的なストレッチが必要です。

まとめると、インピンジメント症候群は、肩関節周囲の筋肉や腱が圧迫されることによって引き起こされる症状です。早期に適切な治療を行うことが重要であり、予防にも努めることが大切です。適切な姿勢や運動、ウォーミングアップ、荷物の持ち方、定期的なストレッチなどが予防に役立ちます。

Q&A

Q.インピンジメント症候群とは、どのような人が発症しやすいですか?
インピンジメント症候群は、主に肩関節周囲の組織に負荷がかかるスポーツや職業に従事している人によく見られます。特に、テニス、野球、ゴルフ、バレーボールなどのスポーツをする人や、重い物を頻繁に持ち上げる作業を行う人に発症しやすい傾向があります。

Q.インピンジメント症候群は避けられるのでしょうか?
完全に予防することは難しいですが、適切な姿勢とフォームを維持すること、適度な筋力トレーニングとストレッチを行うことで、発症のリスクを減らすことができます。また、活動中の負荷を適切に管理することも重要です。

Q.インピンジメント症候群は一度発症すると再発することはありますか?
はい、インピンジメント症候群は再発する可能性があります。再発を防ぐためには、治療後に継続的なエクササイズや予防策を取ることが重要です。また、再発を防ぐために、適切なフォームや姿勢を維持し、負荷を適切に管理することも重要です。

Q.インピンジメント症候群は他の肩の病態とどのように区別されますか?
インピンジメント症候群の症状は、他の肩の病態と類似している場合があります。診断には、詳しい身体検査や画像検査(MRIなど)が必要となります。医師は症状、検査結果、および患者さんの経歴を総合的に評価して、正確な診断を行います。

Q.インピンジメント症候群の治療期間はどのくらいですか?
治療期間は症状の重症度や個人の回復能力によって異なります。軽度の場合、数週間から数ヶ月で症状が緩和することがあります。しかし、重度の場合や合併症がある場合は、より長い期間の治療が必要になることがあります。

Q.インピンジメント症候群の手術は必要ですか?
一般的には、インピンジメント症候群の治療には手術は必要ありません。初期段階では、非侵襲的な治療法(薬物療法、物理療法、エクササイズなど)が推奨されます。手術は、症状が慢性化し、保守的な治療が効果的でない場合や、大きな組織の損傷がある場合に検討されることがあります。

Q.インピンジメント症候群は他の関節にも起こることがありますか?
インピンジメント症候群は、肩関節が最も一般的な場所ですが、他の関節でも発生する可能性があります。特に、膝や肘の関節でも類似の症状が現れることがあります。ただし、それらの場合は別の名称で呼ばれることがあります。

Q.インピンジメント症候群と関節炎は関連していますか?
インピンジメント症候群と関節炎は異なる疾患ですが、関節炎が存在する場合、インピンジメント症候群のリスクが高まることがあります。関節炎によって関節の炎症や変形が生じると、周囲の組織に負担がかかり、インピンジメント症候群が発生する可能性があります。

Q.インピンジメント症候群の治療中に自宅でできることはありますか?
インピンジメント症候群の治療中には、医師や理学療法士から指示されたエクササイズやストレッチを自宅で継続することが重要です。また、症状を悪化させないように、日常生活での負荷や姿勢に注意することも大切です。

Q.インピンジメント症候群の予後はどうですか?
適切な治療と自己管理が行われれば、多くの場合、インピンジメント症候群の症状は改善します。ただし、症状の重症度や治療の遅れによっては、完全な回復には時間がかかる場合があります。また、早期の治療と予防策の取り組みは、長期的な予後にも影響を与えることが研究で示されています。

インピンジメント症候群を早く治すにはどうしたらいいですか?

上記とは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

整体で治るものでしょうか?

整体やカイロプラクティックはおすすめはしません。理由は「症状の軽減はあるかもしれないが、症状を悪化させてしまう方も多い」からです。実は整体師やカイロプラクターと名乗る人たちが持っている資格は3ヶ月程度の受講でとれてしまう民間資格なのです。日本では、柔道整復師や鍼灸師、マッサージ師といった資格は国が指定する学校へ3年間ほぼ毎日通い国家試験に受かったものしか名乗れません。解剖生理などの知識が一定以上なければ危険であると国が判断しているということです。誰でも簡単に名乗れてしまうだけに、技術のレベルにとてもムラがあるのは想像がつくと思います。以上のことを踏まえると、カイロプラクティックや整体といったものを安易に選ぶのは少し考えものです。

インピンジメント症候群の予防方法はありますか?

腱板の筋力トレーニングや肩甲骨を固定する筋肉を鍛えると良いでしょう。インピンジメント症候群を予防するには、上腕骨大結節部の衝突による炎症を予防する事が必要です。
・肩甲骨を固定する筋肉の柔軟性回復と支持力強化
・肩関節の可動域のキープ
・腱板の筋力トレーニング
・過剰に上腕骨大結節を衝突させない、その動作を避ける
・投球動作など運動後にはアイシング・休息をさせる

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