痛風

痛風とは、高尿酸血症によって引き起こされる疾患で、炎症性の関節痛や結晶性の腎臓病を引き起こすことがあります。本稿では、痛風の原因、症状、診断、治療、予防について解説します。

【原因】
痛風の原因は、体内に蓄積された尿酸が関節などの部位に結晶化することで発症します。尿酸は、プリン体が分解された際に生成される物質であり、通常は腎臓を通じて体外に排出されます。しかし、尿酸の排泄が上手くいかずに体内に蓄積されると、関節に尿酸結晶が沈着し、痛風発作を引き起こすことがあります。
尿酸の排泄には、遺伝的な要因や食生活、生活習慣などが影響を与えるとされています。例えば、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病や、アルコールの過剰摂取、肉類や魚介類の食べ過ぎなどが、尿酸の蓄積を促進するとされています。

【症状】
痛風の症状は、急性期には関節痛や関節の腫れ、赤み、熱感が現れます。特に足首や足の親指の付け根、膝、手首、指の関節が多く、痛風発作が起こると激しい疼痛が生じます。また、発作中は、発熱や全身のだるさ、食欲不振などの症状が現れることもあります。
痛風の慢性期には、関節痛や腎臓病を引き起こすことがあります。慢性期になると、痛風発作の頻度や痛みの程度は軽減されますが、関節が変形したり、腎臓に尿酸の結晶が沈着して病気を引き起こすことがあります。

【診断】
痛風の診断には、血液検査や尿検査、レントゲン検査などが行われます。血液検査では、尿酸値が高いかどうかを調べることができます。ただし、尿酸値が高くても必ずしも痛風を発症するわけではありません。尿検査では、尿酸結晶を調べることができます。レントゲン検査では、痛風による関節の変形や腎臓に尿酸の結晶が沈着しているかを調べることができます。
痛風の診断には、痛風発作時には症状や診察結果で明らかになる場合が多いです。痛風発作が初めての場合には、尿酸値が高いだけでなく、炎症反応が見られることが多く、血液検査では白血球やCRP(C反応性蛋白)が高くなっています。

【治療】
痛風の治療には、急性期の痛みや炎症の軽減、再発予防が目的となります。急性期には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチン、ステロイド系抗炎症薬が用いられます。また、痛風発作の予防には、尿酸排泄促進剤や尿酸生成抑制剤が使われます。
尿酸排泄促進剤は、腎臓からの尿酸排泄を促進する薬です。主に、ベンズブロマロンやフェブキソスタットが使われます。尿酸生成抑制剤は、尿酸の生成を抑制する薬です。主に、アロプリノールやフェブキソスタットが使われます。

【予防】
痛風の予防には、尿酸値を下げることが重要です。食事によって尿酸値を下げることができます。具体的には、肉類や魚介類、ビールなどのアルコール類、内臓や発酵食品などのプリン体が多い食品は控えめにすること、代わりに野菜や果物、穀物、大豆製品などの摂取量を増やすことが推奨されます。また、適度な運動や肥満の改善も尿酸値を下げる効果があります。
尿酸値を下げるためには、医師の指導のもと、適切な食事や生活習慣の改善が必要です。また、薬物治療を行う場合には、医師の処方に従い、きちんと服用することが大切です。

【まとめ】
痛風は、尿酸値が高くなることで、尿酸結晶が関節や軟部組織に蓄積し、炎症を引き起こす疾患です。痛風発作は、急激な痛みや熱感、腫れが現れ、患部が赤くなる症状が見られます。痛風の診断には、血液検査、尿検査、レントゲン検査が用いられます。治療には、急性期の痛みや炎症の軽減、再発予防が目的となります。予防には、尿酸値を下げるための食事や生活習慣の改善が重要です。医師の指導のもと、適切な治療を行い、再発を防ぎましょう。

Q&A

Q: 痛風と関節リウマチは同じ病気ですか?
A: いいえ、痛風と関節リウマチは異なる病気です。痛風は尿酸の代謝異常によって引き起こされますが、関節リウマチは自己免疫疾患です。

Q: 痛風発作が起こるリスクを減らすために食事で気をつけるべきことはありますか?
A: 痛風発作のリスクを減らすためには、プリン体の多い食品(内臓、赤身の肉、シーフード)の摂取を制限し、アルコールや甘い飲み物の摂取を控えることが重要です。

Q: 痛風を予防するためのライフスタイルの変化はありますか?
A: 痛風を予防するためには、適切な体重維持や定期的な運動、十分な水分摂取、アルコールの適量制限、栄養バランスのとれた食事などの健康的なライフスタイルの変化が推奨されます。

Q: 痛風と高尿酸血症は同じですか?
A: 痛風と高尿酸血症は関連がありますが、同じではありません。高尿酸血症は尿酸値が通常よりも高い状態を指し、痛風は高尿酸血症によって引き起こされる関節炎の一種です。

Q: 痛風はどのように診断されますか?
A: 痛風の診断には、病歴の詳細な確認、体格検査、血液検査(尿酸値の測定)、関節液の検査(尿酸結晶の確認)などが行われます。

Q: 痛風による関節炎以外にどのような合併症がありますか?
A: 痛風は関節炎以外にも、尿酸結晶が蓄積することで尿路結石や腎臓の損傷、尿酸性痛風性腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。

Q: 痛風の治療にはどのような薬物が使用されますか?
A: 痛風の治療には、急性発作の際には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンが使用され、慢性的な尿酸値の上昇を抑制するためには尿酸排泄を促す薬物や尿酸産生を抑制する薬物が使用されることがあります。

Q: 痛風の治療中に飲酒しても大丈夫ですか?
A: 痛風の治療中はアルコールの摂取を制限することが推奨されます。アルコールは尿酸値の上昇を引き起こす可能性があるため、症状の悪化を招く可能性があります。

Q: 痛風は遺伝しますか?
A: 痛風は遺伝的要因が関与することがあります。家族歴がある場合、痛風の発症リスクが高まる可能性があります。

Q: 痛風の患者さんはどのような食品を積極的に摂取すべきですか?
A: 痛風の患者さんは低プリン体食品(野菜、果物、全粒穀物)や低脂肪乳製品、水分摂取を増やすことが推奨されます。また、積極的なビタミンCの摂取も尿酸値の低下に役立つことがあります。

痛風を早く治すにはどうしたらいいですか?

近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。

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