顔:頭痛など

【50代:女性】眼精疲労に原因不明の舌の痛み、ボトックスも無効だった顔こりおよび顔面痛の症例

受診までの経過

5年前から首肩のこりや痛みがありましたが、右側は特に顔や首まで痛くなるため、脳の問題かと思い脳外科で検査を受けたものの異常はなく、顎関節症からくるものかと思いマウスピースを作ってみても症状は変わりませんでした。3年前に子供の受験でストレスが強い時期がありました。2年前には歯ぎしりのため歯科診察を受けたものの、特別な異常はありませんでした。右顔面では、目と鼻の間、顎関節、舌に痛みがあり痛い時は舌が歯に当たっているわけでもないのに舌がガタガタになっているとのことでした。眼精疲労も感じておりひどい頭痛もありました。読書や、パソコン・iPADの使用、車の運転など目を酷使する時に特に痛みが出ていました。美容クリニックでボトックス治療なども受けましたが効果がなく、当院にご相談いただきました。

診察時の所見

首肩の可動域には特に問題はありませんでしたが、こりは肩甲骨周囲にも及び広範囲であり高度でした。エコー検査でも重症の首肩こりの所見を認める一方で、レントゲン検査では頸椎に大きな異常はありませんでした。頸椎症は否定的である一方で、両側の首肩こりに加えて右顔面の筋・筋膜性疼痛、(いわゆる顔こり)顎関節症を合併している状態でしたが、さらに舌痛という非常に難しい痛みを含んでいました。顔面におけるモヤモヤ血管(病的新生血管)の存在は明らかでしたので、モヤモヤ血管治療(微細動脈塞栓術;運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

右側顔面動脈造影および舌動脈造影、下歯槽動脈造影にてそれぞれモヤモヤ血管が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後10日くらいから改善してきて、治療後2週間の診察時には痛みは半分以下になり過ごしやすくなりました。特に背中の症状(肩甲骨や肩甲骨周囲)が改善しましたが、舌の痛みや眼窩下方の痛みも改善してきました。痛みの性質が変わってきたということでした。治療後1ヶ月に差し掛かる頃、背中の痛みや頭痛は無くなり、首は1か所だけ痛みが残っていました。痛い部位がはっきりしてきました。顔面の痛みも7割方良くなりました。これまでの5年間は何だったのかと思えるくらい劇的に良くなったので欲が出てきてゼロを目指したいと言われました。治療後2ヶ月時点、まだパソコンや読書などで根をつめると痛みが出るものの、その範囲はだいぶ狭くなりました。舌や眼窩下方の痛みが起床時に生じることはなくなりました。外来通院治療継続中ですが、元々の重症度から考えると大幅に改善しており、特に心配された舌の痛みまで明瞭に改善がみられるのはとてもよかったと思います。完全に痛みが無くなることを目指して診療継続中です。

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