顔:頭痛など

【60代:女性】胸鎖乳突筋を押さえると顔がぴりぴりする・・眼精疲労・顎関節症・歯痛・首肩こりに対するモヤモヤ血管治療後に前頸部の治療を追加した症例(眼精疲労・顎関節症・食いしばり(ブラキシズム)・歯痛・顔こり・首肩こり・頸部痛(胸鎖乳突筋痛症他後頸部の痛み)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

20年前から首肩こりがありました。10年前からは、左歯や顎が痛むようになり、特に夜になると痛みが強くなるためクリームを塗って寝ていました。食いしばりがありマウスピースを作りましたが、効果はありませんでした。眼精疲労がある他、顔の静脈が浮き出てくるなどの事象もあり顔および首肩こりの治療についてご相談いただきました。症状は左側が強いものの両側にあり、歯や目の症状はシェーグレン症候群ではないかと言われたこともあるなどずいぶんと苦労してきたとのことでした。

診療経過

典型的な顔こり、首肩こりの状態であり、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただいたところ、下顎~首の症状は半減しました。こめかみ近くにあった青筋が目立たなくなり、血行が良くなり、顔がホカホカして艶が良くなりました。歯の痛みも半減し、眼精疲労も大幅に改善しました。一方、術前にはそれほど強く感じていなかった前頸部の痛みを感じるようになりました。こりもある他、押さえると顔にぴりぴりと刺激が生じていました。エコー検査において強い線維化所見は見られなかったものの、触診では胸鎖乳突筋がかなり硬く、一定の明確な圧痛もありました。その後しばらく注射加療などを続けていましたが、特に左側において歯や首の症状が残存していること、初回治療では行わなかった前頸部の治療も受けたいと希望されたことから2回目の微細動脈塞栓術を行いました。

治療の所見

顎関節症や食いしばりの主要責任血管の一つである顔面動脈の血管造影を行うと、モヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として描出されました。後頸部でも後頭動脈造影にてモヤモヤ血管が描出されました。前頸部はいくつかの血管が複雑に関与しており、複数箇所の治療を行いますが、胸鎖乳突筋に一致してモヤモヤ血管が描出されました。それぞれ、治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後3日くらいから改善してきて、2週間で前頸部の痛みは7割減少しました。胸鎖乳突筋を押さえると顔がぴりぴりしていたのですがそれが無くなりました。残存していた食いしばりによる歯の痛みや顎の痛みもさらに改善し、日中はほとんど気にならなくなりました。
これまで、首肩こりの症状は多数取り上げてきましたが、より広範囲で重症度が高い症例でした。本症例では、眼精疲労・顎関節症・食いしばり(ブラキシズム)・歯痛・顔こり・首肩こり・頸部痛(胸鎖乳突筋痛症他後頸部の痛み)といった諸症状に対して、2回のカテーテル治療を行いました。いわゆるコリの症状は、単回の治療でも十分治療効果がありますが、追加治療を行うことでさらなる改善が期待できます。また、通常の首こりでは前頸部や高位後頸部までの治療は要しませんが、より重症度が高かったり、一定以上の顔面の症状やしつこい頭痛を合併したりする場合は同部位追加治療の意義が大きくなります。また、前頸部は神経が密集している部位であり、注射治療などの他治療はリスクのため行いにくい部位ですので、そうした観点からもカテーテル治療は良い選択肢と言えるかもしれません。
経験的には、前頸部までの治療を要する方は、当院のような慢性痛専門クリニックにおいても多くはありませんが、あらゆるニーズに応えられるよう頸部の治療には特にこだわりを持って準備しておりますので、お悩みの方はどうぞお気軽にご相談ください。

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