手術は終わったのに痛みが続く…それは乳房切除後疼痛症候群かもしれません

「乳がんの手術から何か月も経つのに痛みが続いている」
「脇の下や胸がヒリヒリする」
「服が擦れるだけでも痛い」
「腕や肩まで痛みやしびれが広がる」

このような症状がある場合、乳房切除後疼痛症候群(Post-Mastectomy Pain Syndrome:PMPS)の可能性があります。

乳房切除後疼痛症候群とは、乳がん手術後に3か月以上続く慢性的な痛みを指します。
乳房切除術だけでなく、乳房部分切除術やリンパ節郭清術の後にも起こることがあります。

手術そのものは成功していても、痛みやしびれが長期間続くことで日常生活や睡眠に支障をきたし、仕事や家事、趣味を思うように続けられなくなることがあります。

乳房切除後疼痛症候群(PMPS)とは?

乳房切除後疼痛症候群(PMPS)は、乳がん手術後に生じる慢性的な神経障害性疼痛の一つです。

一般的には、

  • 乳房切除術
  • 乳房温存手術
  • 腋窩リンパ節郭清
  • センチネルリンパ節生検

などの治療後に発症します。

術後の傷の痛みは通常時間とともに改善しますが、PMPSでは手術から数か月以上経過しても痛みやしびれが持続します。

乳房切除後疼痛症候群の症状

胸や手術部位の痛み

最も多い症状です。

  • ヒリヒリする
  • チクチクする
  • 焼けるような痛み
  • 電気が走るような痛み

として感じることがあります。

脇の下の痛み

リンパ節郭清を受けた方に多くみられます。
脇の下の違和感や痛みが長期間続くことがあります。

腕や肩の痛み・しびれ

手術側の

  • 上腕内側
  • 胸の外側

に痛みやしびれが広がることがあります。

感覚異常

  • 触れると痛い
  • 感覚が鈍い
  • ピリピリする
  • 衣服が触れるだけで痛い

といった症状が現れることがあります。

睡眠障害

夜間に痛みが強くなり、

  • 寝つけない
  • 夜中に目が覚める

といった症状がみられることもあります。

乳房切除後疼痛症候群の原因

手術による神経損傷

最も大きな原因と考えられています。
特に「肋間上腕神経(ろっかんじょうわんしんけい)」という神経が手術によって損傷を受けることで、神経障害性疼痛が発生すると考えられています。

手術後の瘢痕(はんこん)

手術後にできた瘢痕組織が神経を刺激し、慢性的な痛みの原因となることがあります。

放射線治療の影響

術後に放射線治療を受けた場合、神経や周囲組織への影響によって痛みが続くことがあります。

慢性的な炎症

手術後の組織修復過程で炎症が長引くことも、痛みの持続に関与していると考えられています。

乳房切除後疼痛症候群はどのくらい多い?

PMPSは決して珍しい病気ではありません。
報告によって差はありますが、乳がん手術後の患者さんの20~60%程度に発生するとされています。

また、日本国内の調査でも、乳がん術後患者さんの約2割が慢性的な痛みに悩んでいることが報告されています。

乳房切除後疼痛症候群を放置するとどうなる?

痛みを我慢し続けることで、

  • 睡眠不足
  • 活動量低下
  • 肩関節の可動域低下
  • 気分の落ち込み
  • QOL(生活の質)の低下

につながる可能性があります。

特に「手術は終わったのだから仕方ない」と諦めてしまう方も少なくありませんが、適切な治療によって改善が期待できる場合があります。

乳房切除後疼痛症候群の検査

問診・診察

痛みの部位や性質、手術内容などを確認します。

画像検査

必要に応じて、

  • 超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

などを行い、再発や他の疾患がないか確認します。

神経障害性疼痛の評価

痛みの特徴や感覚異常の有無を確認し、神経障害性疼痛かどうかを評価します。

乳房切除後疼痛症候群の治療

薬物療法

一般的な鎮痛薬だけでなく、

  • プレガバリン
  • 神経障害性疼痛治療薬
  • 抗うつ薬

などが使用されることがあります。

リハビリテーション

肩関節や胸郭の柔軟性改善を目的に行います。

神経ブロック

痛みが強い場合には神経ブロック治療が検討されることがあります。

ペインクリニック治療

慢性疼痛に対して専門的な治療を行います。

長引く痛みとモヤモヤ血管の関係

乳房切除後疼痛症候群では神経障害だけでなく、慢性的な炎症が関与しているケースがあります。
近年、その慢性的な炎症の背景に「モヤモヤ血管」と呼ばれる異常な毛細血管が関与していることがわかってきました。

本来、血管は組織修復のために作られます。
しかし炎症が長期間続くことで必要以上に血管が増殖し、その周囲には痛みを感じる神経も増えていきます。

その結果、

  • 手術から何年も経つのに痛い
  • 薬の効果が不十分
  • 痛みが慢性化している

といった症状につながる可能性があります。

運動器カテーテル治療という新しい選択肢

近年、慢性的な痛みに対する治療として「運動器カテーテル治療」が注目されています。

運動器カテーテル治療は、痛みの原因となるモヤモヤ血管に対してカテーテルを用いて治療を行う方法です。手首や足の付け根などの血管から細いカテーテルを挿入し、異常血管へアプローチすることで慢性的な炎症や痛みの改善を目指します。

特に、

  • 手術後何年も痛みが続いている
  • 薬で改善しない
  • 日常生活に支障が出ている
  • 他の治療法を探している

という方にとって、新たな治療選択肢となる可能性があります。

このような症状があればご相談ください

  • 乳がん手術後も痛みが続いている
  • 胸や脇の下がヒリヒリする
  • 腕や肩まで痛みが広がる
  • 衣服が擦れるだけで痛い
  • 痛みで眠れない
  • 薬を飲んでも改善しない
  • 手術後の慢性的な痛みに悩んでいる

乳房切除後疼痛症候群(PMPS)は、決して珍しい病気ではありません。

なごやEVTクリニックでは、慢性的な痛みに対する運動器カテーテル治療を行っています。
乳がん手術後の長引く痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

Q&A

Q.一生涯にわたって続くのですか?
症状や程度は個人によって異なりますが、一部の患者さんでは症状が一生涯にわたって持続することがあります。しかし、治療や症状管理の方法は進歩しており、症状を軽減させることができる場合もあります。

Q.再発することがありますか?
一部の患者さんでは、再発することがあります。再発のリスクは個人によって異なりますが、症状管理と早期の治療は再発を予防するのに役立つ場合があります。

Q.他の疾患と混同されることがありますか?
PMPSの症状は他の疾患と類似することがあり、診断が難しい場合があります。他の病状との鑑別診断を行うために、医師は詳しい患者さんの症状や過去の経歴を評価する必要があります。

Q.乳房再建手術後にも発生することがありますか?
乳房再建手術後にもPMPSの症状が発生することがあります。手術によって神経組織が傷つくことや、手術後の瘢痕組織によって痛みが引き起こされる可能性があります。

Q.どのくらいの割合で発生するのですか?
発生率は報告によって異なりますが、乳房切除を受けた女性の約20〜30%がPACSの症状を経験するとされています。しかし、症状の程度や持続期間は個人によって異なるため、正確な割合を特定するのは難しいです。

Q.症状は切除した乳房の位置にのみ現れますか?
症状は通常、切除した乳房の位置で現れますが、一部の患者さんでは切除した乳房以外の領域にも広がることがあります。背中や肩、脇の下など、痛みが放散する場合もあります。

Q. すべての乳房切除患者さんに発生するのですか?
すべての乳房切除患者さんが症状を経験するわけではありません。特定の条件や個人の特徴に関連して発生する可能性があります。手術後の痛みや症状がある場合は、医師に相談することが重要です。

Q.診断にはどのような検査が行われますか?
症状の評価や身体検査が一般的に行われます。医師は痛みの場所や程度を確認し、他の疾患との鑑別診断を行うために必要な検査を依頼することがあります。

Q.治療にはどのような方法がありますか?
鎮痛剤、神経ブロック、物理療法、認知行動療法などが使用されることがあります。個々の患者さんの状態に応じて、最適な治療プランが立てられます。

Q.症状を軽減する自己ケア方法はありますか?
一部の患者さんは、自己ケア方法を使用してPACSの症状を軽減することができます。ストレッチや軽度の運動、リラクゼーション法、熱または冷却パッドの使用などが役立つ場合があります。ただし、個人の状態に合わせて医師の指導を受けることが重要です。

乳房切除後疼痛症候群の実例紹介

 
 

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肩・腕・肘・手

 

 

腰臀部股関節

 

 
 

 
 

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