アキレス腱炎

アキレス腱炎とは、アキレス腱が炎症を起こし、スポーツや日常生活の動作が痛みを伴う状態です。特にランニングなど、走ることが多いスポーツに従事する人に発症しやすいですが、日常生活の中でもアキレス腱炎を引き起こすことがあります。アキレス腱炎は、自然に治る場合もありますが、長期間にわたり改善が見られないことも多いです。そのため、症状が長引く場合は、専門的な医療機関を受診し、適切な治療を受けることが推奨されます。

原因

アキレス腱炎は、アキレス腱に繰り返し過度な負荷がかかることで発症します。特に、地面を蹴る際に足のつま先を伸ばす動作が影響しやすいため、スポーツ選手に多く見られます。発症が多い競技には、剣道、陸上競技、サッカー、スキー、スノーボード、ダンス、バレエなどが挙げられます。また、硬い地面での運動や寒い季節での活動もリスクを高める要因です。

アキレス腱炎になりやすい人の特徴

  • 男性
  • 肥満の傾向がある人
  • 偏平足の人
  • 高血圧の人

症状

運動中や座っている状態から歩き始める際に、ふくらはぎからかかとにかけて痛みを感じることがあります。また、アキレス腱に軽く触れると痛みが生じるだけでなく、腫れを感じることも少なくありません。

治療

まずは、炎症による痛みが落ち着くまでしっかりと安静にすることが重要です。炎症が強い場合にはアイシングが効果的で、特に運動直後に行うと高い効果が期待できます。また、湿布や外用薬の使用、さらに超音波治療を取り入れることで炎症を抑え、痛みを和らげることができます。スポーツ復帰に向けては、再発防止のためにもリハビリテーションが非常に大切です。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防とセルフケア

運動強度を徐々に上げること

急激な運動強度の増加がアキレス腱炎を引き起こす原因の一つです。特に新しいエクササイズプログラムを始めたばかりの時は、無理をせず段階的に負荷を上げていくことが重要です。

過度な負担をかけない

無理なトレーニングや過度に追い込んだ練習はアキレス腱炎を引き起こすリスクを高めます。特に中年男性は注意が必要です。走行中に痛みを感じたら、すぐに休息を取るか、練習量を減らすよう心掛けましょう。

適切な靴選び

靴底のクッション性が低下していたり、アーチサポートが不十分な靴を履くと、アキレス腱に負担がかかることがあります。靴の状態を定期的にチェックし、適切な靴を選ぶことが重要です。

毎日のストレッチ

ふくらはぎのストレッチを日常的に行うことが、アキレス腱の負担軽減につながります。特に朝のストレッチは効果的で、運動の前後にも行うことでアキレス腱の炎症予防に役立ちます。

Q&A

Q1. アキレス腱炎とは何ですか?

アキレス腱炎は、アキレス腱に炎症が生じることで痛みや腫れが発生する状態です。ランニングやジャンプなどの運動が原因で、過度な使用によって引き起こされることが多いです。

Q2. 主な症状は何ですか?

主な症状には、アキレス腱周辺の痛みや腫れ、歩行時や運動時に感じる不快感、腱の硬直感があります。特に朝起きたときや運動後に痛みが強くなることがよくあります。

Q3. どのように診断されますか?

医師による問診や触診、場合によっては超音波やMRIなどの画像検査を用いて診断されます。アキレス腱の状態や炎症の程度を確認します。

Q4. 治療にはどのような方法がありますか?

治療には、まず安静にし、炎症を抑えるためにアイシングや消炎鎮痛薬の使用が推奨されます。さらに、ストレッチや理学療法でアキレス腱の柔軟性を改善することも重要です。

Q5. 痛みを和らげるためのセルフケア方法はありますか?

セルフケアとしては、アキレス腱を冷やすアイシングや、無理な運動を避けることが有効です。また、柔軟性を高めるための軽いストレッチも効果的です。

Q6. 予防するためにはどのようなエクササイズが効果的ですか?

予防には、ふくらはぎやアキレス腱の筋肉を強化するエクササイズが効果的です。特にストレッチやヒールドロップエクササイズが、腱の柔軟性を高めて負担を軽減します。

Q7. 悪化する前に医師に相談すべき症状は何ですか?

痛みが続く、腫れがひどくなる、アキレス腱に強い圧痛がある場合は、早めに医師に相談することが重要です。早期診断と治療が回復を促進します。

Q8. 治療には手術が必要ですか?

軽度のアキレス腱炎では手術は必要ありませんが、重度の場合や保存的治療が効果を示さない場合には、手術が検討されることがあります。

Q9. 再発を防ぐためにはどのようなトレーニングが有効ですか?

アキレス腱の柔軟性を高めるストレッチや、ふくらはぎの筋力を強化するエクササイズが再発防止に効果的です。適切なウォームアップとクールダウンも重要です。

Q10. リハビリにはどのようなプログラムが効果的ですか?

リハビリには、アキレス腱とふくらはぎの柔軟性を改善するストレッチや、筋力を強化するエクササイズが含まれます。

アキレス腱炎にはモヤモヤ血管は関係していますか?

関係しています。古くは、エコーで確認できる異常血流信号に対して血管硬化療法を行うことで症状が改善したことなどが報告されてきました。最近はカテーテルを用いて血管の中から病的新生血管(モヤモヤ血管)に対して直接一時塞栓物質を投与することでより強力な症状改善がえられることがわかってきました。

アキレス腱付着部症も運動器カテーテル治療の適応になりますか?

適応となります。部位にかかわらず、血管の分布に沿って広く治療できるのが運動器カテーテル治療の強みです。

アキレス腱炎の実例紹介

 
 

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