足:アキレス腱炎、足底筋膜炎、踵骨棘など 【80代:男性】このまま歩けなくなってしまうのか・・高齢男性を悩ませたアキレス腱の痛み(アキレス腱周囲炎、アキレス腱断裂後遺症) 2025.06.06 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 25年前に右アキレス腱断裂を起こしました。ギプス固定による安静にて回復し、その後時々痛むことはありましたが、大きな障りは無く過ごせていました。3ヶ月前に歩き過ぎたことをきっかけに急に痛くなりました。痛みは強く、安静時にも生じるほどでした。整形外科を受診してストレッチを指導されたものの、症状が改善しないため当院を受診されました。 診察時の所見 エコー検査をすると、疼痛部位(アキレス腱中間部)に一致してアキレス腱周囲に血流信号の増強を認めました。アキレス腱自体は変性所見を認めたほか、腫脹していましたが、元々断裂の既往があるため今回の痛みに伴うものかどうかまでは不明でした。少なくともアキレス腱に強い炎症があるわけではなく、アキレス腱周囲炎およびアキレス腱断裂後遺症と判断いたしました。いずれも病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の適応であり治療を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、後脛骨動脈では明らかな異常所見が認められなかった一方で、腓骨動脈にて、患部に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。やはり、典型的なアキレス腱炎というよりも、アキレス腱周囲炎に合致する所見でした。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後2週間、まだあまり変化はありませんでした。治療後3週間くらいから急激に改善し、1ヶ月時点では通常時の痛みは消失していました。6千歩歩くと少し痛むことはあったものの、少し休むと改善しました。エコー検査では、アキレス腱腫脹に変化はありませんでした。通常、痛みの改善とともに腫れも退いてくることが多いのですが、やはり断裂後の長期慢性変化によるものであり、今後も著変無いものと思われました。非常に順調であったため、終診としました。治療後6ヶ月時点でも、毎日6千歩の散歩ができており、『とても良くなって嬉しい』と喜んでおられました。普段は痛みを感じることは無く、長く歩くと少し痛むことはあるものの、その場合も元の痛みの3割程度とのことでした。御高齢ですが、毎日6千歩歩くことができているとは敬服するばかりです。 アキレス腱炎の詳しい病状説明はこちら 【40代:男性】足首の芯の痛みがとれない、10年に亘り繰り返してきた痛風発作に対するモヤモヤ血管治療(痛風関節炎) 前の記事 【40代:男性】原因は長時間の電車利用、5年間続いた足裏にまで及ぶ坐骨神経障害合併の梨状筋症候群(坐骨神経障害、梨状筋症候群) 次の記事