腰:椎間関節炎など

【40代:男性】原因は長時間の電車利用、5年間続いた足裏にまで及ぶ坐骨神経障害合併の梨状筋症候群(坐骨神経障害、梨状筋症候群)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

座りっぱなし、立ちっぱなしなど、長時間の電車利用(7-8時間)がきっかけで、5年前から左臀部の痛みと、下肢全体の痺れが生じるようになりました。腰椎MRI検査では異常はなく、梨状筋症候群や仙腸関節障害が疑われ、ブロック注射を複数回受けてきました。当初よりは少しましになったものの、しびれは、左下肢末梢や足裏にも及び、安静時にも常にうっすらと症状がありました。一方、麻痺などの強い感覚異常はありませんでした。痛みでよく眠れないことも多くなり、当院を受診されました。

診察時の所見

全体的に腰の動きは硬く、中等度の制限がありました。(L4/5)腰椎椎間関節、棘間にて強い圧痛を認めたほか、左梨状筋でも圧痛を認めました。腰椎は直線化しており、右股関節において臼蓋被覆が浅めでした。軽度の変形性変化も認められました。左坐骨神経障害を伴う左梨状筋症候群に加えて、腰椎椎間関節炎、棘間靭帯炎を合併した状態でした。特に、下肢末梢神経障害についてはある程度進行し、固定化されていたため、一定の症状が残る可能性があること、重症度が高く、まずは症状半減を目指すことなどをご説明しご理解いただいた(それでも十分とのこと)うえで、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

腰椎レベル~股関節周囲レベルまで左側に対して広範囲に治療を行いました。腰臀部に明確に再現痛を認めました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。特に腰臀部領域では、モヤモヤ血管を視認することが困難なことが多いため再現痛の確認は重要です。

治療後の経過

治療後10日くらいから改善してきました。日によって異なるが、調子のよい日はすごく楽に感じられ、しびれも随分と少ない日ができるようになりました。治療後5週間を過ぎてくるとさらに改善が進み、左脚がだいぶ軽くなりました。痛みで目が覚めることも無くなり、よく眠れるようになりました。この時点で痛みは半分以下となっており、日常生活に支障をきたすことも無くなりました。経過良好であり、さらなる改善が期待されますが、ご遠方のためそれ以降は受診されていません。5年に及ぶ下肢神経障害を合併しており、範囲も足裏にまで及んでいましたので、どこまで改善できるかという懸念がありましたが、当初の目標は早々に達成することができました。今後は座りすぎない、寝すぎない生活を心がけていただき、運動も取り入れて再発予防に努めていただきたいと思います。尚、下肢神経障害でお悩みの場合、範囲が広くならない内に、症状が固定化されないうちに(出たりおさまったりのうちに)、感覚障害が進行しない内に治療を検討されることをおすすめします。時間が経ち症状が進行して固定化されるようになると、そこからいくら原因を解除してあげたとしても取り戻すことができない場合があります。どうぞご留意ください。

梨状筋症候群の詳しい病状説明はこちら

 
 

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