痛風でお悩みの方へ

痛風は、体内で尿酸が過剰に生成され、それが関節に結晶として沈着することで生じる激しい痛みや炎症を伴う疾患です。この病気は、特に足の親指の付け根に発症しやすく、発作的に強い痛みを引き起こします。痛風は、生活習慣や遺伝的要因が関与しており、放置すると関節の変形や腎臓へのダメージを引き起こす可能性があります。

痛風とは?

痛風は、高尿酸血症と呼ばれる状態が原因で発生します。尿酸は、プリン体という物質が体内で代謝される際に生成される副産物です。通常、尿酸は腎臓から尿として排泄されますが、体内で過剰に生成されるか、排泄が不十分であると尿酸が血液中に蓄積します。これが関節に沈着すると、痛風の発作が引き起こされます。

原因と症状

主な原因は以下の通りです

  • 遺伝的要因:家族に痛風がある場合、遺伝的にリスクが高くなります。
  • 食事:高プリン体食品(レバー、シーフード、赤身肉など)の過剰摂取。
  • アルコール:特にビールや蒸留酒の摂取が尿酸値を上昇させます。
  • 肥満:体重が増えると、尿酸値が上昇しやすくなります。
  • ストレス:ストレスや激しい運動が尿酸値を急上昇させることがあります。
  • 薬物:利尿剤やアスピリンなどの一部の薬が尿酸値を上昇させます。

主な症状は以下の通りです

  • 関節の激しい痛み:特に夜間に足の親指の付け根に激痛が発生しやすい。
  • 関節の腫れと発赤:痛みを伴う関節が腫れて赤くなる。
  • 発熱:発作時に軽度の発熱を伴うことがあります。
  • 可動域の制限:痛みのために関節の動きが制限される。
  • 再発性:痛風の発作は繰り返し発生することが多い。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防とセルフケア

痛風を予防するためには、日常生活での注意が必要です。以下のポイントを参考にしてください

    • バランスの取れた食事:高プリン体食品を避け、野菜や果物を多く摂取する。
    • 適度な運動:過度な運動は避け、適度な運動を心がける。
    • 水分摂取:十分な水分を摂取し、尿酸の排出を促進する。
    • アルコール摂取の制限:アルコール、とりわけビールの摂取を控える。
    • 定期的な健康チェック:定期的に尿酸値をチェックし、早期発見と予防に努める。

Q&A

Q: 痛風と関節リウマチは同じ病気ですか?
A: いいえ、痛風と関節リウマチは異なる病気です。痛風は尿酸の代謝異常によって引き起こされますが、関節リウマチは自己免疫疾患です。

Q: 痛風発作が起こるリスクを減らすために食事で気をつけるべきことはありますか?
A: 痛風発作のリスクを減らすためには、プリン体の多い食品(内臓、赤身の肉、シーフード)の摂取を制限し、アルコールや甘い飲み物の摂取を控えることが重要です。

Q: 痛風を予防するためのライフスタイルの変化はありますか?
A: 痛風を予防するためには、適切な体重維持や定期的な運動、十分な水分摂取、アルコールの適量制限、栄養バランスのとれた食事などの健康的なライフスタイルの変化が推奨されます。

Q: 痛風と高尿酸血症は同じですか?
A: 痛風と高尿酸血症は関連がありますが、同じではありません。高尿酸血症は尿酸値が通常よりも高い状態を指し、痛風は高尿酸血症によって引き起こされる関節炎の一種です。

Q: 痛風はどのように診断されますか?
A: 痛風の診断には、病歴の詳細な確認、体格検査、血液検査(尿酸値の測定)、関節液の検査(尿酸結晶の確認)などが行われます。

Q: 痛風による関節炎以外にどのような合併症がありますか?
A: 痛風は関節炎以外にも、尿酸結晶が蓄積することで尿路結石や腎臓の損傷、尿酸性痛風性腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。

Q: 痛風の治療にはどのような薬物が使用されますか?
A: 痛風の治療には、急性発作の際には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンが使用され、慢性的な尿酸値の上昇を抑制するためには尿酸排泄を促す薬物や尿酸産生を抑制する薬物が使用されることがあります。

Q: 痛風の治療中に飲酒しても大丈夫ですか?
A: 痛風の治療中はアルコールの摂取を制限することが推奨されます。アルコールは尿酸値の上昇を引き起こす可能性があるため、症状の悪化を招く可能性があります。

Q: 痛風は遺伝しますか?
A: 痛風は遺伝的要因が関与することがあります。家族歴がある場合、痛風の発症リスクが高まる可能性があります。

Q: 痛風の患者さんはどのような食品を積極的に摂取すべきですか?
A: 痛風の患者さんは低プリン体食品(野菜、果物、全粒穀物)や低脂肪乳製品、水分摂取を増やすことが推奨されます。また、積極的なビタミンCの摂取も尿酸値の低下に役立つことがあります。

痛風の実例紹介

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