鵞足炎でお悩みの方へ

鵞足炎は、膝の内側にある鵞足(ガソク)と呼ばれる腱が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こす状態です。この病気は、ランニングや階段の上り下りなどの反復的な動作による負担が原因で発症しやすく、運動選手や高齢者に多く見られます。

鵞足炎とは?

鵞足炎は、膝の内側に位置する3つの筋肉(半腱様筋、薄筋、縫工筋)の腱が集まる部位である鵞足に炎症が生じる状態を指します。この部位は、膝の安定性を保つために重要な役割を果たしており、過度な負担がかかると炎症を引き起こします。鵞足炎は、特に運動選手や中高年の女性に多く見られます。

原因と症状

主な原因は以下の通りです

  • 過度の運動:ランニングや階段の上り下りなど、膝に過度の負担がかかる運動が原因となります。
  • 不適切な運動フォーム:ランニングや運動の際に不適切なフォームを取ることで、鵞足に負担がかかることがあります。
  • 過体重:体重が増えると、膝にかかる負担が増加し、鵞足炎のリスクが高まります。
  • 筋力の不均衡:大腿四頭筋やハムストリングスなどの筋力バランスが悪いと、鵞足に過度の負担がかかることがあります。
  • 外傷:膝を強打するなどの外傷が鵞足炎の原因となることがあります。

 主な症状は以下の通りです

  • 膝の内側の痛み:特に運動中や運動後に痛みが強くなります。
  • 腫れと炎症:膝の内側が腫れ、炎症を起こすことがあります。
  • 膝の内側の圧痛:膝の内側を押すと痛みを感じることがあります。
  • 膝の硬直:膝を動かすのが難しくなることがあります。
  • 歩行困難:痛みや硬直により、正常な歩行が難しくなることがあります。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防とセルフケア

鵞足炎を予防するためには、日常生活での注意が必要です。以下のポイントを参考にしてください

    • 適切な運動:膝に過度な負担をかけない運動を心がけましょう。
    • 正しいフォーム:運動や日常生活で正しいフォームを維持することが重要です。
    • 筋力トレーニング:膝周囲の筋力をバランスよく鍛えましょう。
    • 体重管理:過体重は膝関節に負担をかけるため、適正な体重を維持しましょう。
    • 休息:膝に違和感を感じたら、適度に休息を取ることが大切です。

Q&A

Q: 鵞足炎はどのように予防できますか?
A: 鵞足炎の予防策には、適切な靴の選択、適度な運動、足の衛生の維持が含まれます。

Q: 鵞足炎と捻挫はどのように区別できますか?
A: 鵞足炎と捻挫は似た症状を引き起こすことがありますが、診断を専門家に任せることが重要です。

Q: 鵞足炎のリカバリーにはどれくらいの時間がかかりますか?
A: 鵞足炎のリカバリーには個人差がありますが、適切な治療と十分な休養を取ることが重要です。

Q: 鵞足炎を放置するとどのような合併症が起こる可能性がありますか?
A: 放置すると、慢性的な足の痛みや歩行困難などの合併症が起こる可能性があります。

Q: 鵞足炎はスポーツ選手によく見られるのですか?
A: 鵞足炎はランニングやジャンプなどの反復的な運動を行うスポーツ選手によく見られますが、他の人にも起こる可能性があります。

Q: 鵞足炎の痛みを軽減するための自己ケア方法はありますか?
A: アイシング、足の休息、適切な靴装具の使用など、痛みを軽減するために自宅で行える方法があります。

Q: 鵞足炎は高齢者にも影響を与えるのですか?
A: 鵞足炎は年齢に関係なく発症する可能性がありますが、高齢者にも影響を与えることがあります。

Q: 鵞足炎の治療において、手術は必要ですか?
A: 大抵の場合、手術は最終的な選択肢として考えられるべきであり、多くの場合は保守的な治療法で対処できます。

Q: 鵞足炎を悪化させる行動や習慣はありますか?
A: 長時間の立ち仕事や高いヒールの使用、過度な運動などは鵞足炎を悪化させる可能性があります。

Q: 鵞足炎の再発を防ぐためにはどのような対策が必要ですか?
A: 適切なフットウェアの使用、適度な運動、足の筋力を強化するエクササイズなど、予防策を実践することが重要です。

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