捻挫

捻挫とは、関節が不自然にひねられることで靭帯や腱、軟骨などが損傷するケガのことを指します。関節周辺の血管が傷ついて内出血が起こると、その部分が腫れてくることが特徴です。捻挫は体のどの関節にも起こり得ますが、特に足首や指に多く見られます。突き指も、捻挫の一種です。スポーツ中の事故だけでなく、転倒や高齢者が階段を踏み外すことで発生することも多いです。これらの外傷により、体内で発痛物質が作られ、痛みが引き起こされます。

原因

捻挫はスポーツだけでなく、日常生活の何気ない動作や転倒がきっかけで発生することがあります。子どもは体のバランスが不安定なため、転んで捻挫などのケガをしやすいです。一方、大人では普段あまり運動をしていない状態で、急に走ったりするなど、普段使わない筋肉や関節に急激な負荷がかかると捻挫が起こりやすくなります。捻挫が発生しやすい状況は以下のような動作中に見られます。

スポーツ:走行中の急な方向転換や転倒、ジャンプの着地、柔道やラグビーのようなコンタクトスポーツでタックルを受ける時など。
日常生活:段差の上り下りでの足の踏み外し、転倒、ぎっくり腰(腰椎の捻挫)など。
事故:交通事故によるむち打ち(頸椎の捻挫)など。

症状

ケガをした関節では、腫れや痛みが見られることが多いです。これらの症状は、一般的には損傷の程度と一致しますが、痛みを感じにくい靭帯もあるため、「痛みが少ないから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
多くの捻挫(靭帯や軟骨の損傷)は、ケガから1~2ヶ月経過すると強い痛みが和らぎ、日常生活には支障がなくなります。しかし、スポーツ活動などで再び負荷がかかると、痛みや腫れ、関節のぐらつき感が残ることがあります。このため、重症だとは感じず、無理をしてしまうことがあり、その結果として関節内に二次的なダメージが蓄積されていく場合があります。このようなダメージが蓄積されると、最終的には変形性関節症(関節軟骨がすり減り、関節が変形する状態)に進行する可能性があるため、早めの対応が重要です。

治療

医療機関での受診をおすすめするケース
次のような症状がある場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。靱帯の断裂や骨折の可能性があります。

  • 腫れがひどく、歩行が困難なほどの強い痛みがある場合
  • 関節が不安定で、グラつきが感じられる場合
  • 安静にしても1~2週間後に痛みが治まらない場合

セルフケアが可能な場合
靱帯の損傷が軽度であれば、自宅でセルフケアを行うことが可能です。腫れがあまりひどくなく、痛みも我慢できる範囲であれば、まずは安静にしながら様子を見てもよいでしょう。ただし、靱帯の損傷部位によっては痛みが感じにくいこともありますので、1~2週間経過しても痛みや関節の不安定さを感じる場合は、念のため医師の診察を受けることをおすすめします。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防

捻挫予防の基本は、適切なストレッチと体調管理です。特に、足首周りの筋肉を鍛えるエクササイズは、捻挫を防ぐために効果的です。さらに、日常生活における姿勢や歩行の仕方も重要です。正しい歩行方法を習得することで、足首への負担を軽減し、捻挫のリスクを低減できます。

適切な靴の選び方

捻挫を防ぐためには、正しい靴選びも欠かせません。特にスポーツを行う際には、足首をしっかりサポートするシューズやサポーターの使用が推奨されます。適切な靴を履くことで、足首にかかる負担を軽減し、捻挫を予防する効果が期待できます。

捻挫予防のトレーニング

捻挫を予防するためのトレーニング方法は多数あります。バランスボールを使用したトレーニングや、足首の筋力を高めるウェイトトレーニングがその一例です。これらのトレーニングを継続的に行うことで、捻挫のリスクを減らすことが可能です。また、トレーニング中には、正しいフォームや呼吸法を意識することが重要です。

捻挫予防のストレッチ

捻挫を防ぐためには、定期的なストレッチも不可欠です。特に足首周りの筋肉を柔軟に保つことで、急な動きにも適応しやすくなり、捻挫のリスクを減らすことができます。ストレッチは、運動前だけでなく、運動後や就寝前に行うとさらに効果的です。

Q&A

Q1. 捻挫とは何ですか?

捻挫は、関節周囲の靭帯が過度に伸びたり、部分的に断裂したりすることで生じる怪我です。特に足首や手首に多く見られ、痛みや腫れが伴います。

Q2. どのような原因で発生しますか?

スポーツ中の急な動きや転倒、不安定な地面を歩行中に足首や手首をひねることで発生します。また、高いヒールの靴や不適切な運動も原因となることがあります。

Q3. 主な症状は何ですか?

主な症状は、関節周囲の痛み、腫れ、関節の不安定感です。ひどい場合は、関節の動きが制限され、内出血や靭帯の断裂が見られることもあります。

Q4. 治療にはどのような方法がありますか?

RICE(安静、アイシング、圧迫、挙上)療法が有効です。軽度の捻挫では、これで回復することが多いですが、重度の場合は専門医の治療が必要です。

Q5. 再発しやすいですか?

適切に治療しないと再発しやすいです。特に、靭帯が弱くなったまま運動を再開すると、再度捻挫するリスクが高まります。リハビリを通じて靭帯を強化することが重要です。

Q6. 予防にはどのような方法がありますか?

関節をサポートする筋力トレーニングやストレッチが効果的です。また、足に合った靴を履くことや、運動前のウォームアップも重要です。

Q7. 捻挫が運動に与える影響はどのようなものですか?

捻挫は、関節の可動域を制限し、運動やスポーツ活動に支障をきたします。適切なリハビリを行わない場合、パフォーマンスの低下や再発のリスクが高まります。

Q8. 捻挫のリハビリにはどのようなトレーニングが含まれますか?

リハビリには、関節の可動域を広げるストレッチや、靭帯を強化する筋力トレーニングが含まれます。バランストレーニングも捻挫の再発予防に有効です。

Q9. 回復にはどれくらいの期間がかかりますか?

軽度の捻挫は1〜2週間で回復することが多いですが、重度の捻挫では回復に数か月かかることもあります。リハビリの進捗や日常のケアが回復期間に影響します。

Q10. 手術が必要ですか?

軽度の捻挫は手術を必要としませんが、重度の捻挫で靭帯が完全に断裂した場合、手術が検討されることがあります。手術後はリハビリを行い、機能回復を目指します。

モヤモヤ血管

 

顔・首

 
 
 

肩・腕・肘・手

 

 

腰臀部股関節

 

 
 

 
 

その他