外反母趾

外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がって「くの字」状に変形する状態のことを指します。主な原因としては、足に合わない靴の着用が挙げられます。特にハイヒールなど、足先が窮屈な靴を履くことで、外反母趾を引き起こすケースが増えています。また、関節リウマチの合併症として外反母趾が生じることもあります。症状が進行すると、日常的な靴でも違和感を感じるようになり、歩行時に痛みが発生することもあります。

原因

外反母趾の主な原因は、靴の影響です。特に、幅が狭く先端が細くなった靴を履くことで、親指の付け根から先が圧迫されて変形します。さらに、ヒールの高い靴を履くと、付け根にかかる力が増加し、変形が一層進行します。
10代で発症する外反母趾は、親指が人差し指より長かったり、先天的に扁平足気味だったりすることでリスクが高まります。最も多い中年期の外反母趾は、履物に加え、肥満や筋力低下も関係して発症します。
健全な足には縦と横のアーチがありますが、外反母趾ではこれらのアーチが崩れ、扁平足が進行すると、親指の中足骨が内側に広がり、先の指は靴の圧力で外側に押し出されてしまうことが原因となります。

症状

外反母趾の症状には、見た目の変形や腫れだけでなく、以下のような具体的な症状が現れます。歩行時や靴を履く際の痛み、圧迫時の痛み、赤み、親指の付け根の皮膚が硬くなる、親指の動きが制限され動かしにくくなる、さらにはしびれを感じることもあります。また、2番目の指の付け根の裏側に痛みが生じることも多く、硬いタコができやすい部位でもあります。さらに、外反母趾が進行すると、他の指にも影響が出て、ハンマートウ(槌趾)という指が曲がる変形が生じることがあります。

治療

保存的治療
軽度な変形や初期の外反母趾であれば、手術以外の方法で症状を改善することが可能です。外反母趾の治療において最も重要なのは、適切な靴の選び方です。つま先部分が広く、靴の中で足が前に滑らないデザインの靴を選びましょう。また、足の形に合ったインソールを使用することで、症状を和らげる効果が期待できます。足趾じゃんけん(足の指を広げたり曲げたりする運動)などの筋力訓練やストレッチも有効です。装具による治療(外反母趾装具)は変形の矯正効果は大きくありませんが、痛みの軽減には効果があります。

手術治療
痛みが強く、保存的治療で改善しない場合は手術治療が検討されます。外反母趾の手術にはさまざまな方法があり、変形の程度や痛む部位によって最適な術式を選択します。手術は母趾の変形矯正に加え、場合によっては第2~5趾の変形矯正や短縮術を併用することもあります。矯正方法には、軟部組織のみを対象とする方法、骨切り術を行う方法、その両方を組み合わせる方法があります。一般的には、中足骨という足の甲の骨を切って変形を矯正し、金属のプレートやスクリューで固定します。
外反母趾に対する変形矯正術は効果的な手術ですが、合併症のリスクも存在します。手術中の出血は避けられない場合もあり、稀に下肢深部静脈血栓症や肺塞栓症、感染症といった合併症が発生する可能性があります。また、手術後も外反母趾の進行する傾向が完全になくなるわけではないため、長期的な経過の中で症状が再発することがあります。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防とセルフケア

足に合った靴を選ぶことが重要ですが、自分でできる予防法もあります。
まず一つ目は、足の体操です。足の指をグーとパーのように曲げて開く動作を繰り返すことで、親指を支える「母趾外転筋」を鍛えられ、外反母趾の予防につながります。
二つ目は、足裏のマッサージです。座った状態で、右足の甲を右手でつかみ、左手の親指を足裏の真ん中より少し上のくぼんだ部分に当て、円を描くようにもみほぐします。この部分は「母指内転筋」と呼ばれ、硬くなると外反母趾のリスクが高まります。マッサージで柔らかくすることで予防効果が期待できます。椅子に座った状態でも簡単に行えます。
これらの方法は、テレビを見ながらでもできるので、日常的に意識して取り入れることが大切です。

Q&A

Q1. 外反母趾とは何ですか?

外反母趾は、足の親指が外側に曲がり、関節が突出する状態です。痛みや腫れを伴うことが多く、特に女性に多く見られる足の変形です。

Q2. 主な症状は何ですか?

親指の付け根の痛み、赤み、腫れがあり、靴を履くときに痛みが増します。症状が進行すると、歩行時に不快感や痛みが強くなることがあります。

Q3. どのように診断されますか?

医師による視診と触診で診断されます。X線を使って足の骨の変形具合を確認し、症状の進行度を評価します。

Q4. 治療にはどのような方法がありますか?

治療には、まず足に合った靴を履くことや、専用のインソールやサポーターを使って足を安定させることが効果的です。症状が進行した場合は、手術が検討されることもあります。

Q5. 痛みを和らげるためのセルフケア方法はありますか?

セルフケアとしては、足を冷やしたり、足のストレッチを行うことで痛みを軽減できます。また、靴を適切なサイズに変更することで、足への圧力を軽減することができます。

Q6. 予防するためにはどのようなエクササイズが効果的ですか?

予防には、足の筋肉を強化するエクササイズが効果的です。特に、つま先を動かす運動や、足のアーチを鍛えるトレーニングが外反母趾の予防に役立ちます。

Q7. 悪化する前に医師に相談すべき症状は何ですか?

親指の痛みが強くなり、歩行が困難になる場合や、足の変形が進行していると感じた場合は、早めに医師に相談することが重要です。

Q8. 治療には手術が必要ですか?

軽度の外反母趾は手術を必要としない場合が多いですが、痛みが強くなり日常生活に支障をきたす場合は、手術による矯正が必要になることがあります。

Q9. 再発を防ぐためにはどのようなトレーニングが有効ですか?

足のアーチを保つ筋力トレーニングや、足の指をしっかり使う運動が再発防止に有効です。また、適切な靴選びも再発防止に大きな役割を果たします。

Q10. リハビリにはどのようなプログラムが効果的ですか?

リハビリには、足の柔軟性を高めるストレッチや、足底筋を強化するトレーニングが含まれます。

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