腱板疾患

腱板疾患は、肩の腱板(肩甲骨から上腕骨にかけてつながる4つの筋肉と腱の集合体)が炎症や損傷を起こすことで生じる痛みや運動制限を引き起こす状態です。この病気は、特に中年以降の方やスポーツ選手に多く見られ、日常生活やスポーツ活動に大きな影響を及ぼします。

腱板疾患とは?

腱板疾患は、肩の腱板が繰り返しのストレスや過度の使用によって炎症や損傷を受けることで生じます。腱板は肩関節の安定性を保ち、肩を動かすために重要な役割を果たしています。腱板が損傷すると、肩の痛みや動きの制限が生じ、放置すると状態が悪化することがあります。

原因と症状

主な原因は以下の通りです

  • 過度の使用:スポーツや仕事などで肩を頻繁に使うことが原因となります。
  • 加齢:年齢とともに腱板が劣化しやすくなります。
  • 外傷:肩の外傷や転倒が原因で発症することがあります。
  • 不適切なフォーム:運動や作業の際に不適切なフォームを取ることで、腱板に負担がかかることがあります。
  • 遺伝的要因:家族に腱板疾患の既往がある場合、遺伝的にリスクが高まることがあります。

 主な症状は以下の通りです

  • 肩の痛み:特に夜間や運動時に痛みが強くなります。
  • 肩の硬直:肩が硬くなり、動かすのが困難になることがあります。
  • 可動域の制限:肩を完全に動かすことが難しくなることがあります。
  • 筋力低下:痛みや硬直により、肩の筋力が低下することがあります。
  • 日常生活の支障:痛みや硬直により、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防とセルフケア

腱板疾患を予防するためには、日常生活での注意が必要です。以下のポイントを参考にしてください:

  • 適切な運動:肩に過度な負担をかけない運動を心がけましょう。
  • 正しい姿勢:運動時や日常生活で正しい姿勢を維持することが重要です。
  • 筋力トレーニング:肩周囲の筋力をバランスよく鍛えましょう。
  • 体重管理:過体重は肩関節に負担をかけるため、適正な体重を維持しましょう。
  • 休息:肩に違和感を感じたら、適度に休息を取ることが大切です。

 

Q&A

Q1. 肩を上げると痛みを感じるのはなぜですか?

肩を上げたときに痛みを感じる場合、肩周りの筋肉や腱に炎症や損傷がある可能性があります。特に繰り返しの動作や加齢によって影響が出やすくなります。

Q2. 夜間に肩の痛みがひどくなることがあるのはどうしてですか?

肩の炎症が進行すると、夜間に痛みが増すことがあります。安静にしていても痛みが強くなる場合は、専門的な治療が必要です。

Q3. 肩を回すときに痛みや引っかかりを感じたらどうすればよいですか?

肩を回したときに痛みや引っかかりを感じる場合、肩の腱や筋肉に炎症や損傷があることが考えられます。早めに医師の診断を受けることが重要です。

Q4. 肩の痛みが長期間続く場合、どんな治療が効果的ですか?

肩の痛みが長引く場合、リハビリや物理療法、さらには外科的な治療が考えられます。痛みの原因を突き止め、適切な治療を行うことが必要です。

Q5. スポーツや日常の動作で肩を痛めた場合、どのように対処すればよいですか?

肩を痛めた場合、まずは安静にし、アイシングや適切なサポートを行うことが大切です。痛みが引かない場合は専門医の診断を受けるべきです。

Q6. 肩が動かしにくくなるのはなぜですか?

肩の動きが制限されるのは、肩周りの筋肉や腱に問題がある可能性があります。早めにリハビリや適切な治療を行うことで、症状の進行を防げます。

Q7. 肩の痛みや可動域制限を改善するためのリハビリ方法はありますか?

肩のリハビリには、肩関節をゆっくりと動かすストレッチや筋力を高めるエクササイズが効果的です。専門家の指導のもとで行うことが推奨されます。

Q8. 肩の痛みを感じたときに避けるべき動作はありますか?

肩の痛みを感じたときは、無理に肩を動かすことや重い物を持ち上げることを避けるべきです。痛みが悪化する可能性があるため、専門家に相談してください。

Q9. 年齢とともに肩の筋肉や腱が弱くなることがありますか?

年齢を重ねると、肩の筋肉や腱が弱くなりやすく、炎症や損傷が起こりやすくなります。定期的なストレッチや運動が予防に効果的です。

Q10. 肩を動かすと音がするのは問題ですか?

肩を動かしたときに音がする場合、肩の関節や腱に摩擦が生じている可能性があります。痛みを伴う場合は早めに医師に相談することをおすすめします。

腱板疾患の実例紹介

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