手術は終わったのに胸が痛い…それは開胸術後疼痛症候群かもしれません

「肺の手術を受けた後から痛みが続いている」
「傷は治ったのに胸が痛い」
「咳や深呼吸で胸がズキッとする」
「胸や脇がしびれる」
「何年も前の手術なのに違和感が残っている」

このような症状がある場合、開胸術後疼痛症候群(Post-Thoracotomy Pain Syndrome:PTPS)の可能性があります。

開胸術後疼痛症候群とは、肺がん手術や縦隔手術などの開胸手術後に、通常の創傷治癒期間を過ぎても胸部の痛みやしびれが続く状態です。
術後数か月から数年にわたって症状が続くことがあり、日常生活や睡眠、仕事に大きな影響を与えることがあります。

開胸術後疼痛症候群とは?

開胸手術では、肋骨の間を広げて胸の中を手術します。
その際、

  • 肋間神経
  • 筋肉
  • 筋膜
  • 胸膜
  • 血管

などに負担がかかります。

通常は時間とともに改善しますが、一部の患者さんでは慢性的な痛みが残ることがあります。
この状態を開胸術後疼痛症候群(PTPS)と呼びます。

近年では開胸手術だけでなく、

  • 胸腔鏡手術(VATS)
  • ロボット支援手術

の後にも起こることが知られています。

開胸術後疼痛症候群の症状

胸の痛み

最も多い症状です。
手術した側の胸に、

  • ズキズキする
  • チクチクする
  • 焼けるような痛み

を感じることがあります。

脇の下の痛み

傷口だけでなく脇の下や側胸部に痛みが広がることがあります。

しびれ

肋間神経の障害によって、

  • ピリピリする
  • ジンジンする
  • 感覚が鈍い

といった症状が現れることがあります。

深呼吸で痛い

大きく息を吸うと胸郭が広がるため痛みが出ることがあります。

咳で痛い

咳やくしゃみによって症状が悪化することがあります。

衣服が触れるだけで痛い

軽い刺激でも痛みを感じる「アロディニア」が生じることがあります。

睡眠障害

夜間痛によって眠りが浅くなることがあります。

肩や背中の痛み

胸部だけでなく、

  • 肩甲骨周囲
  • 背中
  • わき腹

に症状が広がることもあります。

開胸術後疼痛症候群の原因

肋間神経の損傷

最も重要な原因です。
手術時に肋骨を広げることで肋間神経へ負担がかかります。

手術による組織損傷

筋肉や筋膜の損傷が慢性疼痛の原因になることがあります。

瘢痕組織(手術痕)

傷が治る過程で形成された瘢痕組織が神経を刺激することがあります。

慢性炎症

術後も炎症が残存することで痛みが続く場合があります。

神経障害性疼痛

神経そのものが障害されることで、傷が治っても痛みだけが残ることがあります。

開胸術後疼痛症候群になりやすい人

  • 肺がん手術を受けた方
  • 開胸手術を受けた方
  • 胸腔鏡手術を受けた方
  • 術後痛が強かった方
  • 若年者
  • 慢性疼痛の既往がある方
  • 神経障害性疼痛を起こしやすい方

に多くみられます。

開胸術後疼痛症候群を放置するとどうなる?

命に関わる病気ではありません。
しかし痛みが長期間続くことで、

  • 睡眠障害
  • 活動量低下
  • 呼吸機能低下
  • 運動不足
  • うつ症状
  • QOL(生活の質)の低下

につながる可能性があります。

また、「手術は成功したのに痛みだけが残る」という状態が精神的な負担になることも少なくありません。

開胸術後疼痛症候群の検査

問診

手術歴や症状の経過を詳しく確認します。

診察

痛みの範囲や神経障害の有無を確認します。

レントゲン検査

肺や肋骨に新たな異常がないかを確認します。

CT検査

再発や他疾患との鑑別を行います。

超音波検査(エコー)

胸壁の状態や局所炎症を確認する場合があります。

神経学的評価

感覚異常や神経障害性疼痛の評価を行います。

開胸術後疼痛症候群の治療

薬物療法

  • 消炎鎮痛薬
  • 神経障害性疼痛治療薬
  • 外用薬

などを使用します。

リハビリテーション

  • 胸郭可動域訓練
  • 呼吸訓練
  • 姿勢改善
  • ストレッチ

などを行います。

神経ブロック

肋間神経ブロックなどが行われることがあります。

理学療法

筋膜や胸郭の柔軟性改善を目的として行われます。

慢性疼痛治療

疼痛専門外来で包括的な治療が行われる場合があります。

長引く胸の痛みとモヤモヤ血管の関係

開胸術後疼痛症候群では、手術による組織損傷や神経障害に加え、胸壁周囲に慢性的な炎症が続いていることがあります。
近年、この慢性的な痛みの背景に「モヤモヤ血管」と呼ばれる異常な毛細血管が関与していることがわかってきました。

本来、血管は傷ついた組織を修復するために作られます。
しかし炎症が長引くことで必要以上に血管が増殖し、その周囲には痛みを感じる神経も増えていきます。

その結果、

  • 手術から何年も経っているのに痛い
  • 傷は治ったのに違和感が残る
  • 咳や深呼吸で痛い
  • 薬を飲んでも改善しない

といった慢性的な症状につながることがあります。

運動器カテーテル治療という新しい選択肢

近年、慢性的な術後疼痛に対する治療として「運動器カテーテル治療」が注目されています。

運動器カテーテル治療は、痛みの原因となるモヤモヤ血管に対してカテーテルを用いて治療を行う方法です。手首や足の付け根などの血管から細いカテーテルを挿入し、胸壁周囲の異常血管へアプローチします。

身体への負担が少なく、

  • 手術後の痛みが何か月も続いている
  • 神経ブロックでも改善しない
  • 薬を飲み続けている
  • 胸の違和感が残っている
  • 手術以外の選択肢を探している

という方にとって、新たな治療選択肢となる可能性があります。

このような症状があればご相談ください

  • 肺の手術後から痛みが続いている
  • 胸の傷周囲が痛い
  • 脇の下が痛い
  • 胸がしびれる
  • 深呼吸で痛い
  • 咳で痛い
  • 手術から数年経っても症状が残る
  • 神経ブロックや薬で改善しない
  • 手術以外の治療法を探している

開胸術後疼痛症候群は、手術そのものは成功していても慢性的な痛みだけが残ることがある疾患です。

なごやEVTクリニックでは、開胸術後疼痛症候群による慢性的な胸部痛に対する運動器カテーテル治療を行っています。
長引く胸の痛みやしびれでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

Q&A

Q: 一般的にどれくらいの期間続くことがありますか?
A: 症状は個人によって異なりますが、通常は数週間から数ヶ月続くことがあります。

Q: 主な原因は何ですか?
A: 開胸手術による胸部の組織へのダメージや神経の切断です。

Q: 治療法にはどのような選択肢がありますか?
A: 鎮痛剤、物理療法、神経ブロック、心理的支援、リハビリテーションなどが含まれます。

Q: 症状を緩和するために自宅でできることはありますか?
A: 定期的な軽度の運動、痛み管理のための薬物の適切な使用、リラクゼーション法の実践が役立ちます。

Q: 症状が悪化した場合、どのように医師に連絡すればよいですか?
A: 症状が悪化した場合は、すぐに担当の医師に連絡し、状況を説明し、適切なアドバイスや治療の調整を受けるようにしましょう。

Q: 再発する可能性がありますか?
A: 再発する可能性がありますが、適切な治療や管理方法を実践することで、症状の軽減や再発の予防が可能です。

Q: 他の疾患とどのように区別できますか?
A: 他の疾患と類似することがありますが、診断は医師による詳細な検査と評価によって行われます。

Q: 症状が日常生活にどのような影響を与えることがありますか?
A: 活動制限、睡眠障害、うつ状態、社会的・感情的な影響をもたらすことがあります。

Q: 治療において、薬物療法はどのような役割を果たしますか?
A: 症状の軽減や痛み管理に役立ちます。鎮痛剤や抗うつ薬などが使用されることがあります。

Q: リハビリテーションはどのようなプログラムを含んでいますか?
A: 身体的な運動療法、筋力トレーニング、呼吸法、ストレッチング、姿勢の改善などが含まれます。

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