有痛性外脛骨

外脛骨とは、足の内側にある舟状骨の隣に見られる過剰骨(通常は存在しない余分な骨)で、全人口の15~20%に認められます。多くの場合、この骨の突出が見られるだけで特に問題はありませんが、痛みを伴う場合を「有痛性外脛骨」と呼びます。
有痛性外脛骨は、特に若年層のスポーツ障害としてよく見られる疾患ですが、大人になってから痛みが現れることもあります。多くの場合、捻挫をきっかけに足の内側に痛みが発生しますが、明確な原因がなく痛みが出ることもあります。足の内側に痛みを伴う骨の隆起が見られ、多くの場合、扁平足を伴うのが特徴です。

原因

外脛骨は、どのスポーツでも起こり得ますが、特に陸上、サッカー、バスケットボールなど、走ることが多い競技で頻繁に見られます。外脛骨は舟状骨の内側後方に位置する過剰骨(通常はない余分な骨)で、日本人の約15%に存在します。
舟状骨には、ふくらはぎの筋肉である後脛骨筋が付着しており、過度な運動によってこの筋肉が疲労し硬くなると、後脛骨筋腱が引っ張られ、外脛骨に炎症が生じます。また、捻挫などの外傷や靴の圧迫といった外部からのストレスが原因で痛みが発生することもあります。
特に、外脛骨が突出している人や、偏平足、回内足がある人は外脛骨に負担がかかりやすく、激しい運動をしていなくても、長時間の歩行や立ち仕事で痛みを感じることがあります。

症状

中足部(土踏まずのすぐ上の部分)に痛みが主に現れ、特にスポーツ活動中やその直後に強く感じられることが多いです。外脛骨の隆起が見られる場合、その部位や土踏まずの痛みが運動中に悪化しやすくなります。また、隆起部分が赤く腫れると、その箇所が非常に敏感になり、わずかな圧力でも強い痛みを引き起こすことがあります。そのため、痛みが強くなると、靴を履くことが困難になることもあります。

治療

症状が繰り返される場合でも、通常は15~17歳で骨の成長が停止する頃に自然治癒することが多いため、基本的にはリハビリを中心とした保存療法が選ばれます。保存療法でも痛みが続く場合には、ステロイド剤の局所注射や、外脛骨への負担を軽減するために足底板を使用することがあります。早期のスポーツ復帰を希望する場合には、骨接合術、骨片摘出術、経皮的骨孔術などの手術が選択されることもあります。

モヤモヤ血管と運動器カテーテル治療

近年注目されている治療法として、運動器カテーテル治療があります。この方法は、痛みを長引かせている微細な病的新生血管、通称「モヤモヤ血管」に直接アプローチすることで症状を改善します。モヤモヤ血管が発生するとなぜ痛みが生じるのかについてご説明します。損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。微細な血管は通常の治療ではアクセスが難しい部位に存在します。運動器カテーテル治療では、これらの血管にカテーテルを用いて薬剤を直接注入し、炎症を抑えます。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は、この治療法を検討されるとよいでしょう。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

運動器カテーテル治療のメリット

  • 有効性:薬剤を内側から直接患部に届けるため、高い有効性が期待できます。
  • 即効性:夜間痛・強い安静時痛については早期から改善します。
  • 安全性:ステロイドのような副作用がなく、長期的な使用が可能です。血管から作用させるのみであり、組織を傷つける心配がありません。
  • 低侵襲:負担の少ない治療であり、当日から治療後の特別な制限は不要です(日帰り手術)。小児~高齢者まで幅広く気軽に受けていただけます。
  • 効果の持続:治療効果が長期間持続するため、再発のリスクが低減されます。

予防

外脛骨を持ち、さらに偏平足を併せ持つと、有痛性外脛骨のリスクが高まります。このリスクを軽減するためには、アーチサポート機能のあるインソールを使用し、足への負担を軽減することを検討してみてください。また、足底の筋力強化も重要です。具体的には、タオルギャザーのようなエクササイズが効果的です。さらに、運動前後にはふくらはぎのストレッチを十分に行うことで、筋肉の疲労蓄積を防ぐ効果が期待できます。これらの習慣を継続的に取り入れ、下腿の筋力強化に努めましょう。

Q&A

Q1. 有痛性外脛骨とは何ですか?

有痛性外脛骨は、足の内側にある余分な骨(外脛骨)が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる状態です。特に歩行や運動時に痛みが増すことがあります。

Q2. 主な症状は何ですか?

足の内側に痛みや腫れ、圧痛が生じることがあります。歩行やランニングなどの運動を行うと、痛みが悪化することが多いです。

Q3. どのように診断されますか?

X線やMRIなどの画像検査を用いて診断されます。外脛骨の大きさや位置、周囲の組織の状態を確認して、痛みの原因を特定します。

Q4. 治療にはどのような方法がありますか?

治療には、まず安静とアイシングが推奨されます。痛みが強い場合は、インソールや足首を固定するサポーターを使用して負担を軽減し、症状を和らげます。

Q5. 痛みを和らげるためのセルフケア方法はありますか?

セルフケアとしては、足の内側を冷やすアイシングや、無理な運動を避けることが有効です。適切な靴選びやインソールの使用も痛みの軽減に役立ちます。

Q6. 予防するためにはどのようなエクササイズが効果的ですか?

予防には、足のアーチを支える筋肉を強化するエクササイズが効果的です。特に足底筋やふくらはぎの筋力を鍛えることで、足にかかる負担を軽減できます。

Q7. 悪化する前に医師に相談すべき症状は何ですか?

足の内側に強い痛みが続く、歩行や運動が困難になる場合は、早めに医師に相談することが重要です。早期治療が症状の悪化を防ぎます。

Q8. 治療には手術が必要ですか?

多くの場合、保存療法(安静やインソールの使用)で改善しますが、痛みが強く保存療法で効果が見られない場合には、手術が検討されることもあります。

Q9. 有再発を防ぐためにはどのようなトレーニングが有効ですか?

足底筋を強化するトレーニングや、足のアーチを維持するためのエクササイズが再発防止に役立ちます。また、柔軟性を高めるストレッチも有効です。

Q10. リハビリにはどのようなプログラムが効果的ですか?

リハビリでは、足底筋やふくらはぎの筋肉を強化し、足への負担を軽減するエクササイズを行います。

有痛性外脛骨障害の実例紹介

モヤモヤ血管

 

顔・首

 
 
 

肩・腕・肘・手

 

 

腰臀部股関節

 

 
 

 
 

その他