SIRVA:コロナウイルスワクチン接種後の疼痛

【40代:女性】コロナウイルスワクチン接種後に生じた左肩関節痛(SIRVA)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

コロナウイルスワクチン2回目の接種の翌日に上腕部の尋常ではない痛みが生じました。記憶では、かなり上部に注射をされたそうです。48時間経過すると1回目接種後程度の痛みにはなりましたが、1ヶ月経っても痛みが続き、日によって激痛に襲われ、夜間の痛みにも悩まされていました。整形外科でレントゲン検査など受けたものの骨や関節には異常がなく、電気治療やアイシングなど施されましたが効果がなく当院にご相談いただきました。

診察時の所見

エコー検査でも肩関節周囲炎の所見は明らかでしたが、造影MRI検査を行ったところ、左小円筋腱(上腕骨頭を覆っている4つの腱板の内、最も後方に位置する腱板)の上腕骨頭付着部付近が造影され高信号を呈したほか、肩甲下滑液包の液体貯留を認めました。上腕骨頭付着部損傷や付着部の炎症、および肩甲下滑液包炎の所見でした。他に明確な受傷機転がないことやワクチン接種後の時系列より、ワクチン接種後の肩関節損傷であるSIRVA;Shoulder Injury Related to Vaccine Administrationと判断いたしました。肩関節に強い炎症が起きていることは明らかでしたので微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

SIRVAの血管造影所見は五十肩の場合と類似しています。複数個所で病的新生血管(モヤモヤ血管)を確認し、治療を行いました。治療後、画像上モヤモヤ血管は速やかに消失しています。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後数日から改善してきて、2週後の再診時点では夜も寝られるようになり可動域もほぼ元と変わらないくらいまで改善しました。かなり改善が早かったため次回の再診は治療後3ヶ月時点となりましたが、違和感がある程度でほぼ痛みはなく、可動域も全快していたため終診といたしました。予防のために受けたワクチンで大変な思いをされたわけですが、同様のお問い合わせを多数いただいております。治せる方法があることをぜひ多くの方々に知っていただきたいと思います。

新型コロナワクチン接種による合併症「SIRVA」の詳しい説明はこちら

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