膝:変形性膝関節症など 【50代:男性】注射も効かない!死の四重奏(肥満・高血圧・脂質異常・糖尿病)に合併した痛風発作による膝の激痛 2021.12.27 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 元々重量物の運搬などで少なからず腰や膝に負担がかかっていました。2ヶ月前に左膝に強い痛みと腫れを生じてきたため整形外科を受診し、ステロイド注射を受け一旦少し楽になりましたが2-3日で再燃しました。その後もヒアルロン酸を注射したり水を抜いたりしましたがいっこうに改善しないため当院を受診されました。肥満の他、糖尿病、脂質異常、高血圧、痛風のため内科で投薬を受けていました。 診察時の所見 一見して腫れていて熱感を伴っていました。発熱はありませんでした。エコー検査では左膝内側部において(強い炎症を反映した)著明な異常血流信号の増生を認めたほか膝蓋上嚢という膝関節の嚢に水が溜まっていました。一方、エコー・レントゲンともに膝関節の変形はみられませんでした。痛風あるいは偽痛風による膝関節の炎症が強く疑われました。ステロイド注射他でもコントロール困難なことより微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療(TAME)、運動器EVT)を受けていただくこととしました。 治療の所見 血管造影検査を行ったところ、膝の内外側にモヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として観察されました。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態治療費用:税込324,500円主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後2週間ではまだ水腫は残っていましたが異常血流は消失していました。経過は順調で、治療後1ヶ月で8割以上痛みが軽減されました。治療後3ヶ月のエコー検査では水腫は完全に消失していました。今後の再発予防のためには生活習慣の改善による炎症体質の改善、膝にかかる負担の軽減が重要になってきます。肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病は俗に死の四重奏と言われますが、これに加えて痛風もお持ちの方でした。こうした疾患は身体を炎症体質にしてしまい、様々な慢性痛に深く関わってきますので引き続きしっかりと内科治療を続けていただきたいと思います。 痛風の詳しい病状説明はこちら 【40代:女性】アキレス腱炎だと思っていたら実は・・。4年間続いた足首周囲の痛み、三角骨障害 前の記事 【60代:女性】何をやってもよくならなかった乳房切除後疼痛症候群(PMPS)の症例(手術後の痛み) 次の記事
膝:変形性膝関節症など 【40代:女性】双極性障害が背景の疼痛過敏により、実際の炎症(鵞足炎・膝蓋下脂肪体炎)よりも強く感じていた両膝の痛み(双極性障害、疼痛閾値低下、鵞足炎、膝蓋下脂肪体炎) 2024.02.21