足:アキレス腱炎、足底筋膜炎、踵骨棘など

【40代:女性】アキレス腱炎だと思っていたら実は・・。4年間続いた足首周囲の痛み、三角骨障害

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

4年前から右足首に痛みがありました。1ヶ月半ほど前に駆け出したときにピキーっと痛みが走り、さらに悪化しました。安静でも治らず病院に行ったところ、特段の検査はされず様子をみるように言われましたが、状態が改善しないためご自身で調べてアキレス腱炎ではないかと思い当院にご相談いただきました。最近は、踵をつける、アクセルを踏むなどの動作の他、3cmのヒールを履いても痛みが出るとのことでした。

診察時の所見

アキレス腱には圧痛はみられず、踵骨内側隆起という踵の内側の骨や足関節の周囲にて強い圧痛を認めました。また、底屈(足関節を伸ばす動き)でアキレス腱前方に痛みを生じました。エコー検査を行ったところ、アキレス腱には問題なくより深部の足関節付近に血流信号の増強を認めました。足底筋膜の肥厚はないものの周囲組織は荒廃した状態でした。レントゲン検査では右足にのみ三角骨を認めました。以上より、三角骨障害による足関節周囲の炎症(足関節インピンジメント症候群)および中等度以下の足底筋膜炎を合併している状態と判断いたしました。扁平足も認められ、これらの一因となっていると思われました。明らかな炎症を伴っている状態であり微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療、運動器EVT)の適応と判断し治療を受けていただきました。

治療の所見

後脛骨動脈造影を行ったところ、足関節周囲でアキレス腱より前方に位置する部位にて造影剤の濃染像としてモヤモヤ血管(病的新生血管)が描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。尚、アキレス腱炎のモヤモヤ血管とは描出されている部位が全く異なっており、アキレス腱炎でないことは血管造影検査からも裏付けられました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間でむくみは大幅に減って、立った時の踵の痛みもよくなりました。治療後6週間の受診時には、1万歩以上歩いてもうそみたいに疲れなくなった他、知人の方にも腫れやむくみがなくなったねと言われたとのことでした。その後も順調に経過され治療後3ヶ月の時点で痛みは消失し、底屈動作も問題なくできるようになり患部の圧痛や把握痛なくエコー観察でも異常血流はみられませんでしたので終診となりました。再発予防のためには適正な靴・インソールの使用が重要ですので、これについてもご提案しました。

三角骨障害の詳しい病状説明はこちら

 
 

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