SIRVA:コロナウイルスワクチン接種後の疼痛

【50代:男性】新型コロナウイルスワクチン接種後、鬼の手に⁉ 誰にも理解してもらえず3年間苦しんだ両肩~両手指の痛み(新型コロナウイルスワクチン接種後遺症、副反応、SIRVA、肩関節周囲炎、手指変形性関節症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

3年前に受けた新型コロナウイルスワクチンの4回目接種後、両肩~両手指まで痛みが生じました。それまで同ワクチン接種後には毎回副反応が出ていましたが、その症状がおさまったことはなく、その状態で毎回接種をしていました。当初よりも両肩~前腕の痛みは緩和されてきたものの、手首より先に強い痛みが残っていました。夜は痛み止めを服用しなければ手の痛みで寝られないほどでした。毎日、何年にも亘り痛み止めを服用しているため、肩は痛いかどうかもよくわからなくなっているところもありました。手の静脈がかなり浮き出るようになり、鬼の手のようになってしまいました(ご本人の表現そのまま)。常にグローブをつけたような腫れと痛みがあり、指を使う動作すべてに支障をきたしていました。周囲からはなかなか辛さを理解してもらえず、長く苦しんできました。病院では、右5指(小指)デュプイトラン拘縮、両母趾腱鞘炎、両手首ガングリオン、ヘバーデン結節、ブシャール結節、右3指(中指)ばね指の診断を受けました。鎮痛剤を処方されたほか、ガングリオン穿刺も行われましたが、いつまでも治りませんでした。地域の予防接種健康被害調査委員会より当院を紹介され受診しました。

診察時の所見

肩関節の可動域は、右外旋で軽度の制限を認めた他は保たれていました。両手首は合掌で痛みがあり下ろすことはできませんでした(ファレンテスト陽性)。背屈動作(手首を返す動作)で中等度制限があり、回内回外動作(手首を内側外側に捻る動作)はできるものの緩慢、母指内転(親指を内側に入れる;小指とくっつける動き)困難のほか、手指の各関節も中等度以上の可動域制限があり握ることはできず、一部拘縮も認めました。エコー検査では、両肩関節で上腕二頭筋長頭腱周囲に異常血流信号を認め、水腫も伴っていました。腱板粗部など他でも全体的に炎症所見が目立ちました。腱板は肩甲下筋腱に多少の部分断裂を認めたものの、概ね保たれていました。手指では、腱鞘や腱実質そのものはある程度保たれている一方で、全体的に旺盛な血流信号の増強を認め強い炎症が示唆されました。通常の変形性関節症では説明がつかない状態でした。以上より、両手指の変形性関節症、新型コロナウイルスワクチン接種後遺症、肩関節周囲炎(明らかにワクチン接種に関連したものでありSIRVAと判断)と診断しました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、肩関節では肩甲上動脈、肘では橈側半回動脈でモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。手関節でも骨間動脈造影で同様にモヤモヤ血管が描出されました。治療後はいずれも画像上速やかに消失しました。その他手指を含めて複数個所の治療を行い終了しました。治療後のご説明の際には、これまでの思いが込み上げ、涙を流されました。何とか早く良くなっていただきたいと願うばかりでした。

治療後の経過

治療後1週間くらいから改善し、2週後の確認時には手の痛みはほとんど無くなりました。こわばりはまだ多少あるものの、ずいぶんと楽になりました。以前と比べて黒い色調だった手指が肌色になったと言われました。肩から手首までの症状も改善してきて、夜間も寝られるようになりました。治療後1ヶ月、さらに少しずつ改善していました。手指の痛みが無くなったため手作業をして負担をかけてしまったところ、痛くなってしまいましたが、2日ほど安静にしていると治りました。本当に楽になり、気持ちが前向きになれているとのことでした。治療後2ヶ月、冬場でしたが、豪雪に見舞われて雪かきが大変で、手指の痛みが増悪しました。朝起きると両手が腫れていたものの活動している内に退きました。増悪しても夜寝られないということはありませんでした。やはり、全体としてはすごく楽になっているため気持ちが全然違うと言われました。治療後3ヶ月、肩・肘の症状はほぼ消失したものの、手首と手指の痛みはまだ一定程度残っていました。治療後4ヶ月、前述のように冬場に悪化した後、手指のこわばり、動作時の痛みが残っていました。診察では、手首の回内回外動作は大幅に改善したものの、動作時に痛みを伴いました。母指内転動作も改善して小指とくっつくようになっていました。残存症状についてしっかりと解消したいというご希望があり、ご相談の結果、追加でカテーテル治療を行いました。血管造影では、右手首、左肩関節の一部の血管で軽度のモヤモヤ血管を認めたものの、初回に比べると大幅に減少していました。追加治療後1ヶ月、手首は楽になり、左2,3指、右母趾付け根の痛みはまだ残っていました。手指については変形性関節症を伴っており、症状改善には一定の限界があると思われますが、さらなる改善を期待して経過観察中です。

新型コロナウイルスワクチン接種の副反応による後遺症については、これまでも種々の病型に対してカテーテル治療を行ってきました。有効な治療方法がなく、長年苦しんでいる方は少なくありません。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対するカテーテル治療(微細動脈塞栓術)は明らかに有効であり、当院ではそうした方々の一助となれるよう、様々な病型に対応できるよう応用・工夫を重ね、治療についての啓蒙も含めて鋭意努力を重ねてきましたが、
地域の予防接種健康被害調査委員の方が非公式にでも同治療についてご提案いただけたことは大きな前進だと思っています。これからも地道に社会医療貢献を果たしていきたいと思います。

SIRVAの詳しい病状説明はこちら

 
 

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