股:変形性股関節症など 【70代:女性】歩き方の変化、脚の長さの違い、ついには強い痛みに・・変形性股関節症による鼠径部の痛み(変形性股関節症、鼠径部痛) 2025.04.25 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 1年前から右股関節に違和感がありました。友達からも歩き方が昔と違うと言われ、気にするようになりました。左右で脚の長さが異なるように感じ、両脚で均等に立っていられなくなってきました。歩くと痛いものの、座ったり横になったりしても痛くありませんでした。1週間前に3千歩ほど歩いた翌日に痛みを強く感じました。知人に聞いて当院を受診しました。 診察時の所見 右股関節内旋で中等度制限があり、鼠径部に痛みが誘発されました。外旋動作は硬いものの可能でした。左股関節はより軽症でしたが、同様に動作に硬さはありました。両側鼠径部に圧痛を認めました。レントゲンでは、両股関節とも中等度以上の変形を認めました。外科手術を要するほどの高度の変形ではなく、保存的治療の適応でした。変形性関節症にモヤモヤ血管(病的新生血管)が必発であり、治療による症状の改善が期待されましたので、運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 股関節は一定以上の変形進行に伴い、モヤモヤ血管が良く描出される部位です。血管造影を行うと、上殿動脈の股関節に向かう枝、および閉鎖動脈にて濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療後の経過 治療後2週間、起床後、すぐに立ち上がれるようになりました。朝散歩に出かけるのも気分良く出かけられるようになり本当に嬉しいと言われました。6千歩ほど歩くと痛みを感じたもののその後自然に回復しました。治療後2ヶ月、朝の散歩で少し痛みはあったものの午後には治りました。その後も強い痛みが出ることはなく、県外の遠方にも頻繁に出かけられていました。治療後4ヶ月、よく歩いても鼠径部に痛みを感じることはありませんでした。その後、多少の痛みが出ることはありますが、順調に経過されています。変形性股関節症は進行性の疾患ですので、ある程度以上に変形が進行している場合、痛みが完全にゼロになり再発しないということは困難ですが、炎症を大幅に鎮めることで日常生活は飛躍的に楽になります。この方は精力的に活動される方ですが、遠方にも楽しく出かけておられます。股関節の変形が進むと脚長差を生じますが、ひどくなると股関節のみならず腰臀部や膝関節にも負担をかけますので、適切な靴・インソールを用いて足元から整えることが重要です。この方は該当しませんでしたが、肥満の方は体重を減らすこと、また筋肉を維持・向上させることも進行予防には重要です。 変形性股関節症の詳しい病状説明はこちら 【50代:女性】介護職の方を長年悩ませた、上殿皮神経障害・仙腸関節障害による腰臀部痛 (上殿皮神経障害、梨状筋症候群、仙腸関節障害) 前の記事 【80代:女性】高齢維持透析患者に生じた変形性膝関節症に対するモヤモヤ血管治療 (維持透析、変形性膝関節症) 次の記事