膝:変形性膝関節症など 【80代:女性】高齢維持透析患者に生じた変形性膝関節症に対するモヤモヤ血管治療 (維持透析、変形性膝関節症) 2025.04.29 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 以前から両膝の痛みがあり、整形外科に通院していました。右膝は3回ヒアルロン酸注射を、左膝は繰り返し水を抜いているものの痛みが改善しませんでした。ついにはびっこを引くようになってしまい当院を受診されました。 診察時の所見 両膝とも一見して腫れており、レントゲンでは中等度以上の関節変形を認めました。エコー検査をすると、レントゲン以上に変形所見は進行しており、モヤモヤ血管(病的新生血管)を反映した異常血流信号は膝関節全域で認められました。両膝ともに水が溜まっていました。典型的な重症の変形性膝関節症でした。微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の適応であり、治療を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、ほぼすべての部位でモヤモヤ血管が濃染像として描出されました(写真では、右外側下膝動脈、左外側上膝動脈、左外側下膝動脈の各血管造影の所見を供覧しています)。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後2日くらいから改善し、周囲の方から歩き方もよくなったと言われました。治療後3週間の再診時には、ほとんど痛みは消失していました。早期から改善されて何よりでした。変形の進行度から考えると、痛みを完全に取ることは難しく、再発リスクも高いのですが、一方で80歳代の維持透析患者であることを考えると外科的介入は現実的ではありません。保存的治療方針のもと、炎症や痛みを一定以下にとどめておくことが目標です。当面は良い状態を維持できると思いますが、引き続き慎重にフォローアップしていく予定です。 変形性膝関節症の詳しい病状説明はこちら 【70代:女性】歩き方の変化、脚の長さの違い、ついには強い痛みに・・変形性股関節症による鼠径部の痛み(変形性股関節症、鼠径部痛) 前の記事 【40代:男性】両膝に生じた重症の難治性痛風関節炎に対するモヤモヤ血管治療(痛風関節炎、痛風発作、膝痛、足部痛) 次の記事
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