膝:変形性膝関節症など

【20代:男性】体外衝撃波も無効、年単位でしか好転しないと言われた両側ジャンパー膝の痛み(ジャンパー膝、膝蓋腱炎、バスケットボール)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

ジャンプトレーニングやバスケットボールによる膝の酷使が原因で、2年前から両膝に痛みを感じるようになりました。1年前に整形外科を受診したところ、MRI検査の結果、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)と言われました。体外衝撃波治療を受けましたが改善せず、別の整形外科を受診したところ、膝蓋腱が変性しているため年単位でしか好転しないと言われました。半年間バスケットボールもやめていますが、一向に改善しないため当院を受診されました。

診察時の所見

レントゲンでは膝関節に明らかな異常は認めず、膝蓋骨も問題ありませんでした。エコー検査では、両側ともに膝蓋腱の著明な肥厚(腫脹)、変性所見(低エコー)を認めた他、腱内および膝蓋下脂肪体において異常血流の増生を認めました。膝蓋骨が剥離するまでは至っていませんでしたが、典型的かつ重症の両側膝蓋腱炎の所見でした。整形外科で、年単位でしか好転しないと言われたのも無理もない重症度でした。腱炎・腱付着部炎というのは病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の良い適応ですので、治療を受けていただきました。

治療の所見

右内側下膝動脈造影を行ったところ、膝蓋骨付着部を含む膝蓋腱および膝蓋下脂肪体に一致してモヤモヤ血管が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。左膝も同様でしたが、エコー所見と同様に右膝の方がやや炎症が強い印象でした。その他複数の血管の治療も行い終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、膝蓋腱の痛みは良くなったように感じるが、膝のお皿(膝蓋骨)の周りや鵞足部に痛みが時々あるとのことでした。エコー観察では膝蓋腱の腫れは2mm弱減少していて、異常血流信号も大幅に減少していました。2週間の変化としてはかなり大きな変化です。治療後1ヶ月半、痛みは消失し、エコー観察でも膝蓋腱の腫れはさらに減少し、異常血流信号は完全に消失していました。元々の重症度を考慮すると極めて順調に経過していましたので、運動・バスケットボールの再開も可としました。治療後2ヶ月半頃、治療後初めて1-2時間程度の長時間にわたりバスケットボールをしたところ、ジャンプして踏み切った際に左膝に痛みが走りましたが、その後自然に和らぎました。エコーで右膝がさらに改善しているのに比べて、左側では横ばい~やや増悪している状態でした。しばらく安静に過ごしていただくことで痛みは無くなり、1ヶ月後(治療後3ヶ月半)の再診時には左右とも腫れが退き、異常血流信号も消失した状態でした。少しずつ運動を再開していただいています。

腱炎や腱付着部炎は本質的にカテーテル治療(微細動脈塞栓術)が非常に有効であり症状の改善も比較的早いのですが、一方、腱の変性や損傷の程度によっては一定の再発リスクがあります。いかなる治療をしたとしても、完全に痛みがとれて完治したように思えても、組織損傷・変性がたちどころに治るわけではなく、残った腱を大切に使っていかなければなりません。中でも膝蓋腱炎は他疾患に比べて再発リスクが高いです。日常生活で再発することはありませんが、特にジャンプやダッシュなどの強い負荷が繰り返しかかることでリスクが高まります。とはいえ、カテーテル治療後は負荷がかかった際の耐久力や、痛めた後の回復力も向上します。運動器カテーテル治療の強みだと言えます。バスケットボールを存分にしていただけるよう、今後も引き続き慎重にサポートしていきたいと思います。

ジャンパー膝の詳しい病状説明はこちら

 
 

関連記事