膝:変形性膝関節症など

【50代:女性】8年前からの両膝・両足首の痛みに加えて踵まで痛み平地歩行もままならず・・進行性の変形性膝関節症および足関節症、足底筋膜炎の合併例に対して2回の運動器カテーテル治療を行った症例(変形性膝関節症、変形性足関節症、足底筋膜炎、肥満)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

8年前から両膝・両足首に痛みがありました。足首は捻挫を繰り返してきました。5年前から増悪し、整形外科を受診したところ、膝は変形性膝関節症と診断されましたが、足首については特に何も言われませんでした。歩行時や階段昇降で痛みがあり、特に曲げた時に痛みました。鎮痛薬内服や注射治療のほか、電気治療、鍼治療など受けてきました。初期の頃は痛み止めが効いていたものの、その内に全く効かなくなりました。膝に水が溜まり抜いたこともありました。最近は平地歩行でも辛く、かばったように歩くようになりました。さらに左踵まで痛むようになり、特に朝起きて一歩目が痛いものの、しばらくすると落ち着きました。日常生活に大きく支障をきたす中で、当院のことを知り受診されました。尚、これまで、人工関節置換術をすすめられたことはありませんでした。

診察時の所見

エコー検査では両膝とも水が溜まっており、モヤモヤ血管を反映した異常血流信号も内外にみられました。レントゲン検査では、両膝とも進行性の関節変形(KL分類3程度)を認めたほか、両足関節にも中等度の変形性変化を、足部では扁平足および踵骨棘を認めました。
両膝、両足首、左踵骨内側隆起に一致して圧痛を認めました。以上より、両膝関節および両足関節の変形性関節症、左足底筋膜炎と診断しました。重症度が高く、一定の症状が残存する可能性があること、再発リスクが高いこと、肥満解消や靴・インソールの適正化など総合的に治療していく必要があることなどをご理解いただいたうえで微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

まず膝の治療から始めました。血管造影を行うと、全ての血管でモヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として描出されました。写真では、外側上膝動脈、下行膝動脈の造影所見を示しています。典型的な変形性膝関節症の所見です。治療後、モヤモヤ血管は画像上速やかに消失しました。続いて両足首および左踵の治療です。足関節は膝と比べると、ある程度重症度が増してこなければモヤモヤ血管が明確には描出されにくい部位ですが、本症例では主要3血管(前脛骨動脈、後脛骨動脈および腓骨動脈)の全てにおいてモヤモヤ血管が認められました。左足では、さらに踵骨棘近傍にも明瞭に描出されました。滞りなく治療を行い終了しました。

治療後の経過

右膝は治療後すぐから痛みが改善しました。左膝は2週間の経過で、全体的な痛みから前側に痛みを意識するように部位が変わりました。その後、右足首の痛みが改善し、たまに痛くなる程度となりました。治療後2ヶ月程度で左踵の痛みが無くなりました。しかしながら、その後も左膝の一定の痛みが持続し、エコーでもまだ左膝には水が溜まっている状態でした。しばらく注射加療を継続しましたが、水腫は残存していました。

当初に比べると痛みが半分程度にはなっているものの、初回治療効果としてのこれ以上の改善は限界と判断し、治療後5ヶ月の時点で2回目の治療を行いました。血管造影を行うと、両膝・両足ともモヤモヤ血管は初回に比べて減少しており、特に左足首で顕著でした。写真では、初回治療後5ヶ月以上経過していてもモヤモヤ血管が大幅に減少している状態であることがわかります。残存していた(あるいは新規に増生した)モヤモヤ血管に対して追加治療を行いました。治療後2週間、エコー検査では右膝の水腫は消失、左膝もごく軽度にまで減少しました。右膝や右足首にまだ痛みの訴えがあったため注射加療を行いました。治療後2ヶ月、画像上、炎症所見は大幅に減少し、溜まっていた水は無くなりました。確かに追加治療効果が得られ、右膝・右足首の痛みは消失したものの、今度は左膝の内側の痛みが気になるということでした。2回のカテーテル治療を経て、膝に水が溜まらない程度までは回復しましたが、膝関節の変形が比較的高度であること、足関節も患っていること、肥満があることなどが障害となっていました。足関節の痛みや踵の痛みはほぼ解消されましたが、特に足首は再発リスクが懸念されました。今後は人工膝関節置換術を少しでも先延ばしできるよう、体重減少に努めていただき、増悪時に受診していただくこととしています。

比較的高度に進行した変形性膝関節症に変形性足関節症、足底筋膜炎を合併した重症の症例でした。全ての元凶は肥満ですが、こうなってくるとまさに八方塞がりになってしまいます。足首の痛みまで合併するようになると要注意です。2回のカテーテル治療により、歩容が改善し、平地歩行も可能となりましたが、一定の痛みは残っています。それぞれの変形が高度に進行する前に受診していただくことをおすすめいたします。

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