腰:椎間関節炎など

【40代:男性】20年以上続き諦めていた右大腿前外側の感覚麻痺(外側大腿皮神経障害)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

20年前から右大腿外側に麻痺と痺れがありました。特に思い当たるきっかけはありませんでした。腰椎MRIは2回受けたことがありますが、特に異常はありませんでした。脳神経外科に受診してみましたが、専門外と言われました。種々の医療機関で相談してきましたが、どこに行ってもビタミン剤で様子を見るようなことしか言われず、諦めていたところ、当院の治療を知り受診されました。

診察時の所見

腰や股関節の身体診察では特に異常は認められませんでした。症状は右大腿前外側に限局しており、感覚麻痺が主体でしたが、痛みも少しありました。大腿伸展時や立位で増悪し、股関節屈曲時に症状は大幅に緩和されました。外側大腿皮神経障害と判断しましたが、罹病期間が非常に長く、神経障害が主体であるため治療が無効である可能性がありました。一方、症状が固定されているわけではなく、(おそらく)神経の圧迫緩和時に症状が緩和される状態であることより微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を行ってみる価値はあると思われました。以上をご説明し、無効である可能性についても十分ご理解いただいたうえでご希望されたため、治療を行いました。(とにかくやれることをやってみたいとのことでした。)

治療の所見

右股関節~大腿周囲の血管造影において、特に外側大腿回旋動脈、内側大腿回旋動脈でそれぞれモヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として描出されました。外側大腿回旋動脈の治療時には明瞭な再現痛も認められました。治療後、モヤモヤ血管は画像上速やかに消失しました。
*再現痛;治療の際、薬液投与時に普段の症状が一定程度再現されるように感じる痛みのこと

治療後の経過

治療後2週間、少し感じ方が変わってきて、ピリピリする感じではなくなりました。感覚麻痺は変わりありませんでした(大腿を触った時の感覚鈍麻。温冷感は元々保たれている。)。治療後1ヶ月を過ぎたころから、麻痺の状態が少しずつ改善されてきました。しかしながら、治療後3ヶ月時点でもまだまだ症状が残っていたため、ハイドロリリース注射による加療を数度行いました。治療後5ヶ月、さらに回復が進み、全体としては当初の7-8割程度は改善しました(2-3/10程度に改善)。『もう治らないと思っていたので、とても嬉しく思っている』と言われました。一定の目標が達成されたため終診となりました。20年以上続く神経障害による症状であり通常治療困難ですが、姿勢により症状が緩和されるなど回復可能な要素があったため、ご本人の強い意向もあり治療に踏み切りました。諦めずに治療を受けていただいた結果、回復されて本当に良かったです。

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