股:変形性股関節症など

【60代:女性】再生医療(幹細胞治療)でもよくならなかった重症変形性股関節症の1例

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

40歳代の頃、足を挫いて付け根を捻挫して痛みが長く続いていましたが、この時は自然に治りました。2年半ほど前から旅行に出かけて歩いた際に右股関節の痛みを感じるようになりました。MRI検査の結果、変形性膝関節症と診断されました。外科手術以外の方法を模索して、幹細胞移植を2度にわたり受けました。当初は杖歩行でしたが、治療により何とか杖なしで歩けるようにはなりましたが、移植後半年以上経過した後も痛みが持続するため当院を受診されました。

診察時の所見

一般に、変形性股関節症はレントゲン写真にて、前期股関節症➡初期股関節症➡進行期股関節症➡末期股関節症の4段階に分類されますが、検査の結果、進行期股関節症と判断されました。進行期でかつ50歳代以上のご年齢となりますから、一般的には人工股関節全置換術(THA)の適応です。しかしながら、子宮癌手術および抗がん剤治療を受けたばかりであり、静脈血栓症に対する抗凝固療法を継続していることから極力外科手術を避けたいという強い希望がありました。変形が高度に進行しており非常に厳しい状況ではありましたが、幹細胞移植により症状が少し改善していることから、動脈塞栓術(痛みのカテーテル治療)追加による相乗効果を期待して治療を受けていただくこととしました。

治療の所見

両側鼠径部の動脈(大腿動脈)からカテーテルを挿入して、それぞれ股関節周囲の血管を治療しました。写真は、外側大腿回旋動脈造影にて濃染像として描出されたモヤモヤ血管(病的新生血管)に対して塞栓術を行った際の画像です。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療当日から痛みが改善しました。2週間後、鼠径部前面内側の痛みが残っていましたが、側方やその他の部位の痛みは消失していました。以後順調に経過され、治療後2ヶ月を過ぎる頃には、9割がた痛みが改善しました。幹細胞移植を受けた医療機関でも、炎症がとれているため追加治療は不要と言われたそうです。治療後5ヶ月経過時点では痛みの再発はみられず良好に経過されています。新たに作成したインソールも大変楽だと気に入っていただき、再発予防に努めているところです。本症例では、高度に進行した変形性股関節症にも拘らず、痛みがほぼ消失するまで改善することができました。動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の強力な治療効果が改めて確認されましたが、幹細胞移植という再生医療との組み合わせによる相乗効果により、このような大幅な症状改善がもたらされたのかもしれません。再生医療を受けても治らなかった方には福音となるような一例でした。

変形性股関節症の詳しい病状説明はこちら

 
 

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