腰:椎間関節炎など

【40代:男性】10年に亘りくすぶり続けた仙腸関節障害による慢性腰痛(仙腸関節障害、腰椎椎間関節炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1日12時間に及ぶパソコン作業が原因で、10年前から腰痛が出たりおさまったりを繰り返してきました。腰椎MRI検査では特に異常はなく、鎮痛薬のほか、電気治療やリハビリ、整体通院などで様子を見てきましたがあまり効果がありませんでした。注射を受けると一時的には改善するものの、また戻ってしまうため、もう少し根本的な治療を受けたいと思い当院を受診されました。

診察時の所見

腰の可動域や動作は問題ありませんでしたが、L4/5腰椎椎間関節、上後腸骨棘(PSIS)に強い圧痛を認めたほか、股関節の外旋時に強い腰痛が誘発されました。症状の性状と併せて、腰椎椎間関節炎、仙腸関節障害が疑われました。病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の治療適応と判断し、治療を受けていただきました。

治療の所見

腰動脈、腸腰動脈、外側仙骨動脈からの薬液投与時に特に再現痛を認めました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。特に腰臀部領域では、モヤモヤ血管を視認することが困難なことが多いため再現痛の確認は重要です。

治療後の経過

治療後2週間、少し良い感じはしましたが、まだ大きくは変わりありませんでした。治療後1ヶ月、急速に改善しました。起床時に多少痛みを感じる程度で、普段の日常生活ではほとんど痛みを感じなくなりました。圧痛もほとんど無くなっていました。その後も順調に経過し、治療後2ヶ月で終診となりました。その後の追跡では、治療後6ヶ月時点でもほとんど痛むことは無く、重い物を持った時に痛みが出ることがあるものの、それでも元の痛みの2割程度とのことでした。最寄りの整形外科にてリハビリを続けておられます。長時間のパソコン作業、それに伴う不良な睡眠習慣が最大の懸念点であり、可能な範囲で改善していただくようお話しました。また、仙腸関節障害の再発予防には運動は欠かせません。良い習慣を取り入れて、少しでも長く健康を維持していただきたいと思います。

仙腸関節障害の詳しい病状説明はこちら

 
 

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