腰:椎間関節炎など

【50代:男性】14年間夜も寝られないほどに苦しめられた腰痛が劇的に改善(腰椎性腰痛、仙腸関節障害、潰瘍性大腸炎、脳脊髄液減少症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

14年前から腰痛で苦しんでいました。特に夜間痛がひどく、寝不足からさらに体調を崩していました。ぎっくり腰も繰り返していました。仰向けが一番辛いものの、立位や座位でも長く続くと痛みが強くなりました。歩いている時の方が楽でした。カロナールを服用すると多少楽に感じられました。MRI検査を受けましたが、軽いヘルニアを指摘されるのみでした。腰痛の他にも大きな持病を2つ抱えていました。ひとつは脳脊髄液減少症で、これまで4回ブラッドパッチ閉鎖術を受けていました。もうひとつは潰瘍性大腸炎でしたが、服薬により安定していました。また、新型コロナウイルスワクチン接種後の肩の痛みであるSIRVAにも半年ほど苦しめられました。とにかく夜寝られるようになりたいとの思いで当院を受診されました。

診察時の所見

前医の腰椎MRI検査では、第5腰椎と仙骨の間(L5/S)のレベルにおいて軽微な椎間板ヘルニアを認めました。ヘルニアの程度はごく軽度でしたが、後方正中~右外側陥凹方向の突出部においてT2強調画像で高信号(白く光る)となっており腰痛の一因である可能性が示唆されました。L5/S椎間板は低信号(黒い)であり、併せて腰椎性腰痛の関与が考えられました。症状の性質や特徴的な身体診察所見からは仙腸関節障害も合併しているものと思われました。持病による炎症体質を背景に、腰部および仙腸関節への負担により生じた炎症が助長されている状態と判断しました。特に夜間痛が生じていることからモヤモヤ血管の関与は明白であり、治療による改善が見込まれましたので、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

前述の疼痛部位やMRIで指摘された炎症部に関与する責任血管を中心に広範囲の治療を行いました。骨盤領域は通常モヤモヤ血管が良く見える部位ではないため、モヤモヤ血管画像については掲載していません。滞りなく治療を行い終了しました。

治療後の経過

治療後1週間くらいから痛みが改善し、2週間の再診時点で夜の痛みはほとんど無くなっていました。以前は寝た後も深夜1時、2時に痛みで起きてしまっていましたが、痛みで起きることは無くなりました。治療後1ヶ月半、痛みを感じたのは1日のみで夜の痛みは完全に無くなりました。夜間痛に10年以上苦しめられてきたので、とにかくそれが改善されて嬉しいと言われました。以前の2倍から3倍寝られるようになったそうです。表情も大変明るくなりました。一方、まだ起床時の痛みは残っていました。治療後2ヶ月半、日常生活では若干重い感じがしたりこりを感じたりするものの、順調に回復していました。残存症状の改善のため運動にも取り組んでいただくようお話しました。その後、腕立て伏せやスクワットを軽く行ったり、2時間くらい登山に行ったりするなど積極的に運動をされるようになりました。半年までの経過で、ぶり返すことなく生き生きと順調に過ごしておられます。持病もあるため、引き続き慎重にフォローアップしているところです。五十肩などで夜も寝られないほどの痛みが続くことはよくあるのですが、夜も寝られないほどの腰痛が慢性的に続くことはそうそうありません。14年ですから、本当に辛かったことと思います。やはり、持病と無関係ではないと思います。慢性炎症や疼痛閾値の低下を助長していたものと思われます。モヤモヤ血管治療は、炎症が強いほど良く効く、早くから良くなるような印象がありますが、まさにその典型例でした。通常、腰痛治療後は改善に1ヶ月以上かかりますが、夜間痛は1-2週間程度で快復しました。運動器カテーテル治療の本領発揮と言ったところですね。MRIで大した異常もないのに長年悩まされた腰痛の中にはこうした事例もあります。ご参考にしていただければ幸いです。

仙腸関節障害の詳しい病状説明はこちら

 
 

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