腰:椎間関節炎など

【80代:女性】腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症と言われてはいるものの・・高度の腰椎変形のためあきらめかけていた難治性腰痛および坐骨神経痛

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

以前から腰痛があり腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症を指摘されていましたが、いずれも手術適応ではなく、整形外科では保存的治療の方針で痛み止め内服のほか、電気治療や理学療法を受けていました。しかし改善なく、4ヶ月前に重い物を運んだのがきっかけで腰痛が増悪し、右腰から臀部、さらに大腿前側方にかけて焼けるような痛みまでともなうようになり鎮痛薬も効かなくなってきたため当院を受診されました。腰の痛みが3割、右大腿の痛みが7割ということでした。また、12年前から関節リウマチに罹患していました(症状は手関節のみ)。

診察時の所見

とにかく腰の動きが悪く、可動域が著しく制限されていました。腰臀部はかなり硬く、触診時の反射性の緊張も強く生じました。痛みの部位は右腰骨(腸骨稜周囲)や中臀筋、坐骨周囲などが主体でしたが、仙腸関節近傍の上後腸骨棘(PSIS)、梨状筋にも圧痛を認めました。レントゲンでは腰椎の直線化、側弯、椎間板腔狭小化、骨棘形成、骨硬化像など高度の腰椎変形を認めました。いわゆる変形性腰椎症ですが、高度の神経障害合併はなく、筋・筋膜性疼痛のほか仙腸関節障害や梨状筋症候群の要素も含んだ状態と判断されました(腰痛は複数部位の原因から成る複合病変であることが通常です)。かなり高度の腰椎変形であり、一定の症状が残る可能性があることをご理解いただいたうえで微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

骨盤部位はモヤモヤ血管(病的新生血管)を画像で確認することは通常困難であり、治療後のご説明では治療部位を確認していただくこととなります。左右併せて20箇所以上の血管を治療しました。写真はその一部です。

治療後の経過

治療翌日からかなり改善し魔法にかかったようと言われました。2週間後の診察時にはあまりにも良くなったため、周囲の人や整形外科医、リハビリセンターのスタッフにも驚かれたことなど教えていただきました。とはいえ、まだ痛みは残っており1ヶ月時点では、植木鉢の移動や枝切りなどの作業後など強い痛みを感じるときもありました。それでも横になると30分くらいで治るようになっていました。階段も1段ずつ上れるようになりました。2ヶ月を過ぎる頃に痛みは完全に無くなりました。100%良くなったと大変喜んでいただきました。80歳代でここまでの腰椎変形があり動作困難になっているともうどうしようもないのではないかと思ったり、年のせいだから仕方ないと言われたりもします。すべての方がこのように劇的に良くなるわけではありませんが、一方で腰椎が曲がっているから、歳だからとあきらめる必要もありません。多くの方々にとって勇気づけられるような1例でした。

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