股:変形性股関節症など 【60代:女性】尿が溜まると膣が痛い!夜も寝られず。繰り返す膀胱炎から発症した間質性膀胱炎および膣前庭炎に対するモヤモヤ血管カテーテル治療(間質性膀胱炎、膣前庭炎) 2025.11.21 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 1年前から膀胱炎を繰り返していました。最初は下腹部に痛みがありましたが、その後膣周囲など全体的に痛みが広がりました。1-2時間立っていると痛みが出てきますが、座るときにも痛みが出ます。膣の周りに針で刺されたような痛みがあり、夜間も痛みで目が覚めてしまうほどでした。ひどい時は5-6回目が覚めることもありました。トイレに行くと少し痛みが和らぎました。泌尿器科や婦人科を受診し、膀胱鏡検査を何度か受けたほか、造影MRI検査なども受けましたが特に異常所見はありませんでした。尿が溜まると膣の痛みが生じることから、間質性膀胱炎と診断されました。一方、痛みの主体は膣の入り口部分であり膣前庭炎ではないかとも思い、併せて治療目的で当院を受診されました。 診察時の所見 間質性膀胱炎に膣前庭炎が合併することは少なくありません。繰り返す膀胱炎をきっかけに広い範囲で炎症をきたした状態と考えられました。この場合、それぞれの治療を行う必要があります。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、下膀胱動脈においてモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。非常に強い炎症の存在が示唆されました。治療時の再現痛も強く認められました。治療後モヤモヤ血管は画像上速やかに消失しました。また、内陰部動脈では一部膣前庭に灌流する分枝があり、同部位にモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。同様に、治療時に一定の再現痛を認めました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後3週間、ひどい痛みが減りました。特に日中が楽になりました。夜間に痛むものの、トイレの頻度は3-4回に減りました。術前同様、排尿後は楽でした。治療後1ヶ月になるとさらに改善が進み、全体としては6割~7割方の症状が改善しました(3-4/10程度)。夜間痛があまり生じなくなり、寝られるようになりました。その後、痛むときがありぶり返すのではないかと心配になりましたが、また改善が進み、治療後3ヶ月時点では元の症状の8割~9割方が改善しました(1-2/10程度)。まだ強く痛むことがあるにはありましたが、それでも元の痛みの半分程度でした。不安もだいぶ軽減されていました。まだ完治には至っておらず、元の炎症所見の程度を考慮すると、追加治療による改善の余地があるものと思われました。今後、ご希望があれば追加治療を検討する予定です。膣前庭炎合併の間質性膀胱炎という非常に難しい痛みを抱えておられましたが、まずはここまで改善されて何よりでした。繰り返す膀胱炎は、間質性膀胱炎や膣前庭炎を発症する要因の一つですので要注意です。 間質性膀胱炎の詳細 【60代:男性】痛くてドアノブも回せない、5年以上続いた手首の痛み。腱鞘炎に変形性手関節症を合併した一例(尺側手根伸筋腱の腱鞘炎、変形性手関節症、ドゥケルバン腱鞘炎) 前の記事 【50代:男性】最初からここに来ればよかった・・ステロイド注射無効で半年間苦しんだ石灰沈着性腱板炎による肩の痛み(石灰沈着性腱板炎、肩関節周囲炎) 次の記事
股:変形性股関節症など 【10代:男性】高校1年生のバスケットボール選手を1年以上悩ませた股関節痛(グロインペイン症候群;鼠径部通症候群)(グロインペイン症候群、鼠径部通症候群、バスケットボール) 2024.10.30