膝:変形性膝関節症など

【70代:男性】夜間痛がその日のうちに改善!強い炎症を伴った変形性膝関節症に対する運動器カテーテル治療(変形性膝関節症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

半年前から右膝が痛むようになりました。夜間に疼くようにもなったため、当院を受診しました。

診察時の所見

レントゲンでは両膝関節に中等度以下の変形が見られました(KL分類2/4程度)。両足は扁平足でした。エコーでも同様に中等度までの変形にとどまっていましたが、一方で、異常血流信号は非常に旺盛にみられ、強い炎症が示唆されました。
良い治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、左右とも全周性にモヤモヤ血管が濃染像として描出されました(写真は、下行膝動脈、内側下膝動脈、外側下膝動脈の各血管造影について掲載)。やはり、強い炎症を反映した所見でした。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療直後から症状が改善し、ほぼ痛みが無くなりました。帰り道にも既に違いを実感し、その日の夜にはいつもじんじんと疼いていた痛みが無くなっていました。治療後1ヶ月の再診時には、奇跡的に良くなっている、こんなにも良くなるものかと驚かれました。これまでと人生観が変わり、何か新しいことを初めてみようかと思えるようになったと言われました。その後も違和感を生じることはあるものの、痛みが再燃することはありませんでした。治療後3ヶ月でも順調に経過されており、終診としました。

通常の変形性膝関節症ではもう少し時間をかけて改善することが多いのですが、非常に早期から改善しました。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)は、炎症が強いほど早期から改善が得られる傾向がありますが、まさにそうした症例でした(夜間痛も強い炎症を反映した臨床所見の一つです)。まだ変形が高度に進行していない内に治療を受けていただけたことも、良い結果が得られた要因です。カテーテル治療の強みを最大限に生かすためには、高度の変形にまで進行する前にご検討いただくとよいと思います。

膝の痛みについては、何とか歩けるうちは医療機関を受診しないという方も多く、受診を決断した時には既に変形が高度に進行していたということも少なくありません。変形性関節症は進行性の病気であり、加齢によっても進行しますが、進行するほど種々の治療が効きにくくなってしまいます。ある程度までの状態でしっかりと治し、その後の進行を予防するための靴・インソール調整、筋力トレーニングなどに取り組み、日常生活についても指導を受けた方が、結果的には長く自分の足で健康に歩くことができますので早めに対処していただくことをおすすめします。昨今では、レントゲンに加えてMRI検査まで受けずともエコー検査である程度の詳細な状態を把握することができますし、そうした医療機関が増えてきています。エコー検査は気軽に受けられますので、状態に応じて、時々チェックを受けるのも良いと思います。

変形性膝関節症の詳しい病状説明はこちら

 
 

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