足:アキレス腱炎、足底筋膜炎、踵骨棘など 【40代:男性】足首の芯の痛みがとれない、10年に亘り繰り返してきた痛風発作に対するモヤモヤ血管治療(痛風関節炎) 2025.06.03 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 10年前から右足首に痛風発作を繰り返してきました。内科での内服治療も継続していましたが、良い時でも、常に痛みの芯(違和感)みたいなものを感じていました。まさに発作を起こしているわけではないが、治療対象となるのか、改善できるのかということでご相談いただきました。 診察時の所見 診察時は調子が良い状態とのことでした。発赤・熱感・浮腫・腫脹などは認められませんでした。レントゲンでは脛骨や踵骨に骨棘形成を認めた他、典型的な扁平足でした。エコー検査をすると、明らかに右側優位に足関節にて異常血流信号の増強を認めました。強い炎症が示唆されました。元々、足関節への負担がかかりやすい構造をしているところに、長時間の立ち仕事と繰り返す痛風発作により慢性炎症が形成、助長されているような病態であると考えられました。モヤモヤ血管(病的新生血管)は旺盛に存在しており、運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)による症状の改善が見込まれましたので治療を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、足関節を取り巻く主要血管3枝のうち、前脛骨動脈、腓骨動脈、後脛骨動脈のすべてにおいてモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。痛風は非常に強い炎症を伴う疾患ですが、発作中でなくても強い炎症が存在していたことが示唆されました。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療直後にすごく痛みが退いた感じがしましたが、1週間くらいで少し再燃し、その後また退いてきました。治療後1ヶ月、ほとんどの痛みが改善し、違和感があるもののだいぶ快適になりました。立ち仕事が続くため、足元からの負担を軽減する目的でインソールも作っていただきましたが、装用してみてすごく楽になったとのことでした。エコー検査では治療前に認められていた異常血流信号はすべて消失していました。注射加療なども不要な状態でした。治療後3ヶ月、ほぼ痛みは消失していました。『こんなに良くなるとは思わなかった、もっと早く受ければ良かった』と言われました。治療後6ヶ月、順調に経過し、痛みなく過ごせていました。発作も起きていません。 本症例では、痛風発作中に精査加療を行ったわけではありませんが、それでも高度の炎症を認め、強い炎症を反映して治療後は早期から改善しました。モヤモヤ血管治療は、炎症が強い状態であるほどより早期から治療効果を実感できることが多いです。発作を繰り返してきた場合は、発作から回復したとしても、炎症性組織が形成されてしまっていることがあります。そうした場合、一定の違和感が残ったり、何かのきっかけで度々強い痛みに発展したり、あるいは組織の破壊・変形が進行したりなどしてしまいます。発作を繰り返している場合は根本的な治療を目指して、発作中の辛い状態の場合は速やかな鎮痛のために、ぜひご検討いただくとよいと思います。 痛風の詳しい病状説明はこちら 【40代:男性】3年に亘り悩まされた新型コロナウイルスワクチン接種直後より生じた両膝の痛み(新型コロナウイルスワクチン接種後遺症、副反応) 前の記事 【80代:男性】このまま歩けなくなってしまうのか・・高齢男性を悩ませたアキレス腱の痛み(アキレス腱周囲炎、アキレス腱断裂後遺症) 次の記事