その他:帯状疱疹後など

【60代:女性】発症1ヶ月の左前胸部~背部に生じた帯状疱疹後神経痛に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後神経痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

5週間ほど前に胸の痛みがあり内科を受診したところ、肋間神経痛と言われました。1週間くらいすると発疹が出てきて再度受診すると、帯状疱疹との診断で内服薬を処方されました。しかし、中々よくならないためペインクリニックを受診したところ、ブロック注射をすすめられました。しかし、『それでも痛みが半減すればよい方だと思ってください』と言われ、前向きな気持ちになれず悩んでいました。タリージェなどの鎮痛薬を続けていても、衣服が擦れるだけでズキンと痛みましたが、入浴すると多少楽にはなりました。発症してから1ヶ月様子を見ましたが、改善傾向がないことから当院の治療を検討されました。

診察時の所見

痛みは、左前胸部(乳房より下)~背部で、まだ発疹の痕跡、色素沈着などが残っていました。発症1ヶ月の帯状疱疹後神経痛であり、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)による症状改善が十分期待できます。疼痛に伴い元々あった首肩こりも悪化していたため、併せて治療を行うこととなりました。

治療の所見

首こりの治療を行うと、主たる責任血管である深頸動脈造影にて多量のモヤモヤ血管が描出されました。治療を併施することにして良かったです。続いて、前胸部および背部の治療を行いました。内胸動脈、胸背動脈、肋間動脈のそれぞれで再現痛を認めました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。特に帯状疱疹後神経痛の場合、モヤモヤ血管を視認することが困難であるため再現痛の確認は重要です。

治療後の経過

治療後1ヶ月、日に2-3回キリキリと痛みを感じることがありますが、痛みの程度、頻度とも大幅に減りました。元の症状の7割は改善しました(3/10程度)。治療後2ヶ月、痛みは気にならなくなり、違和感程度になりました。帯状疱疹後神経痛発症後、1ヶ月程度で治療を受けていただきましたので、早期から症状が改善し、ほぼ完治するに至りました。残る違和感も時間経過とともに消失します。帯状疱疹後神経痛は自然経過で治らない場合、時間経過とともに治りにくくなる傾向が強い疾患です。当院では発症3ヶ月以内に治療を受けていただくことをおすすめしています。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

関連記事