その他:帯状疱疹後など

【70代:男性】発症後2ヶ月の帯状疱疹後神経痛!カテーテル治療(微細動脈塞栓術)により劇的に改善した一例(帯状疱疹後神経痛、首肩こり)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

2ヶ月前から左手~腕~肩にかけて帯状疱疹罹患後に痛みが生じるようになりました。ブロック注射は3回ほど受けましたが、効いたのは初回のみで半日しかもたず、2回目以降は全く変わりませんでした。四六時中痛みがあり、夜も眠れないでいました。手の甲は冷えたり、擦れたりすると激痛が走るため(アロディニアあり)、綿の手袋をして過ごしていました。手には太い棒がずっと入っているような感覚がありました。タリージェは全く効かなかったのですが、プレガバリン450mg/dayを服用していて、飲めば多少楽にはなりました。他に、30歳代頃の交通事故がきっかけで、ひどい首肩こりも患っていました。また、不整脈のためペースメーカーが入っていました。当院の治療のことを知り受診されました。

診察時の所見

典型的な帯状疱疹後神経痛(PHN)に加えて、重症の首肩こりを合併している状態でした。帯状疱疹後神経痛は難しい痛みの一つですが、発症2ヶ月、疼痛部位;左上肢、鎮痛剤有効、アロディニアあり、その他の痛みの性状などの諸条件から総合的に判断して、治療による症状の改善が期待できましたので運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。また、長期に亘る重症の首肩こりを反映して、首の可動域は前屈以外高度に制限されている状態でした。併せて治療を行いました。

治療の所見

首こりの主要な標的血管である深頸動脈造影を行うと、モヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。続いて、肩~上腕、前腕、手に対してそれぞれ治療を行いました。帯状疱疹後神経痛部位は主に内側(尺側;小指側)でしたので、同部位の血管について、固有の名前が付いていない血管も含めて複数箇所の治療を行いました。広範囲に及ぶため、漏らさず治療することが重要です。

治療後の経過

治療後しばらくは変わりませんでしたが、1週間くらいすると痛みが大幅にとれて楽な状態となりました。日中に痛み止めを飲まなくてよくなりました。左掌のしびれはほとんど無くなりました。左4,5指(薬指、小指)の痛みが特に夜間に生じて2度ほど起きてしまいますが、プレガバリンを1錠服用すれば治まるようになりました。顔つきも良くなりました。痛みの仮面が取れた感じがしました。治療後2週間の電話診察時には、『こんなに良くなるとは思っていなかった。調べてすぐに決断してよかった。本当に嬉しい。』と言われました。治療後5週間、しばらくは変わらず少しがっかりしていたところもあったのだけれども、お話をする前日に急に良くなったと言われました。左4,5指の症状もほとんど無くなりました。首肩もずいぶんと楽になり、全体的に9割方改善したと実感されました(1/10)。プレガバリンもほとんど服用しなくなり、全く飲まない日もあるくらいでした。その後プレガバリンを飲むこともなくなり、治療後3ヶ月を過ぎる頃には痛み・しびれとも完全に消失しました。その後も再発することなく順調に経過されています。

帯状疱疹後神経痛はあらゆる慢性痛の中でも最も難しい痛みの一つに位置づけられます。ほとんどの慢性痛で非常に有効性の高い運動器カテーテル治療でも、あまり効果が無いという場合が出てきます。多くの治療経験から、有効性が期待できる条件、期待しにくい要素などもわかってきています。本症例では非常に効果的であったわけですが、その要因としては、何より、発症後早期であったということが大きかったと思われます。発症後3ヶ月以内の方は治療効果が発揮されやすい一方で、1年を超えてくると効きにくくなっていきます。
本症例では、治療のことをお知りになってから思い切ってすぐに治療をご決断されました。
お悩みの方は、とにかく早く治療を受けていただくことを強く推奨します。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

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