その他:帯状疱疹後など

【50代:女性】発症3週間の帯状疱疹後神経痛に対するカテーテル治療

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

13週間前に帯状疱疹に罹患しました。当初、左の背中および脇に痛みが出て3日ほど様子を見ていたのですが、内科にかかると発疹があることを指摘され痛み止めを処方してもらいましたが良くならず、皮膚科を受診したところ、さらに鎮痛薬を処方されました。その後、発疹はおさまったもののチクチク、ヒリヒリするような痛みが増してきて、左脇全体と胸や腕に痛みを感じるようになりました。車に乗っていても揺れた際に服が肌に触れただけでも痛みました。夜も寝られないほどの痛みでしたが、薬を服用しはじめてから寝られるようにはなりました。また、入浴すると楽になりました。痛みのため1週間以上休職していたところ、当院の治療を知りご相談されました。

診察時の所見

典型的な帯状疱疹後神経痛であり、アロディニアも伴っていました。発症から1ヶ月以内であり、治療すれば必ず奏効すると言える状態でした。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)の適応と判断し治療を受けていただきました。

治療の所見

左前胸部~背部にかけて広範囲に治療を行いました(写真は内胸動脈造影および肋間動脈造影を示しています)。それぞれ*再現痛を確認できました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。特に帯状疱疹後神経痛の場合、モヤモヤ血管を視認することが困難であるため再現痛の確認は重要です。

治療後の経過

治療翌日から感じ方が変わり、2週間後には半減しました。鎮痛薬の減薬にもとりかかりました。その後数日でさらに大きく改善し、治療後1ヶ月半の確認時には、元の9割程度の痛みは改善していました(1/10程度)。非常に良好な経過であり、残存症状についても自然軽快が見込まれることから終診としました。本症例は帯状疱疹罹患後の十分な抗ウイルス薬治療が行われなかったことから強い症状を伴う帯状疱疹後神経痛を合併しましたが、カテーテル治療により非常に早期から症状が改善しました。とにかく発症から3週間という早期に治療を受けていただいたことが有利に働いたと考えられます。帯状疱疹後神経痛は難治性疼痛の一つであり、年単位で長引くとカテーテル治療をもってしても無効の場合があります。当院では発症から3ヶ月以内に治療を受けていただくことを推奨しています。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

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