股:変形性股関節症など

【モヤモヤ血管が原因だった】グロインペイン症状群の痛み(60代:男性)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

10ヶ月前から恥骨あたりが痛むようになり、走りづらくなりました。内科的には問題が無く、整形外科では恥骨結合炎と診断されました。2ヶ月半ほど、リハビリに通いましたが痛みが取れず、テニスの練習前に痛み止めを服用しながらプレーしていました。しかし、痛み止めを飲んでも痛みはあるため、以前のように思い切り走れなくなってしまいました。動かなければ特に痛みを感じることは無く、患部を押さえても痛くはありませんでした。靴下を履こうとして足を挙げると痛みを感じるほか、歩行でも多少の痛みを感じました。今後もテニスを続けたいという希望があり、当院を受診されました。テニスは毎日3時間行い、大会にも出場していました。

診察時の所見

身体診察をすると、とにかく身体が硬く、病状の一因となっていることは明らかでした。股関節の動作はかたいものの内外旋は問題なく可能でした。恥骨結合、および恥骨左側において明瞭に圧痛を認めました。レントゲンでは恥骨結合周囲に石灰化像を著明に認めました。恥骨結合炎を主体としたグロインペイン症候群と診断しました。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)の適応ですので、治療を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、特に閉鎖動脈にて恥骨近傍にモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。

治療後の経過

治療後4日目には症状が半減しました。5日目以降は痛み止めも服用しなくなりました。治療後2週間、テニスを含めて激しく運動をしても以前のように痛むことが無くなりました。9割方の痛みは消失しました(1/10程度)。非常に良好に経過されていたため、次回受診は治療後3ヶ月の時期としましたが、その後も順調に経過され、テニスも存分にプレーできていました。運動時にたまに違和感ある程度で、痛みは完全に消失していました。非常に早期から改善して何よりでした。テニス自体は、健康寿命を延ばすのに最も優れたスポーツであるという論文もあるくらいです。これからも存分に楽しんでいただきたいと思います。

グロインペイン症候群の詳しい病状説明はこちら

 
 

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