首:首こりなど

【30代:男性】何をやっても治らなかった、フットサル中の接触による『むち打ち症(頸椎捻挫)』後の後遺症(むち打ち症、頸椎捻挫、筋・筋膜性疼痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年半前にフットサルで接触してから首がむちうちのような形で痛むようになりました。当初のような可動域制限は改善しましたが、肩こりのような鈍い痛みが続き、放っておくと筋肉が固まってしまい日常生活に支障をきたしていました。入浴で症状は一時的に緩和されます。頭痛や上肢のしびれはありませんでした。整形外科や整体にいくつも通いましたが痛みが治らないため当院を受診されました。

診察時の所見

回旋で軽度の制限があるのみで、首の可動域は概ね問題ありませんでした。胸鎖乳突筋に左右差はありませんでしたが、左頸部~肩甲骨内側に軽度の圧痛がありました。レントゲンでは頸椎に大きな異常はありませんでしたが、エコー検査では左頸部に異常血流信号の増生を認めました。身体所見と併せて頸部外傷後の遺残痛、筋・筋膜性の疼痛と判断しました。外傷後疼痛は微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の適応であり治療を受けていただきました。

治療の所見

頸部の深頸動脈造影、および頸部周囲に位置する頸横動脈造影において病的新生血管(モヤモヤ血管)が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後1週間、痛みは変わらないものの、こりが蓄積することが解消されました。治療後1ヶ月、以前あったひねると音が鳴るような症状が無くなりました。凝り固まった筋肉が柔らかくなり動かしやすくなりました。治療後3ヶ月、普段の生活で痛みを感じることは無くなりました。仕事で肩に負担がかかると、夕方頃や週末にこりを感じることはありました。ご相談の結果、残りの症状については負担を減らし十分な休息をとること、運動を続けることにより解消することとして終診となりました。
むちうちは交通事故後や寝違え、スポーツ時などの接触や、急に思わぬ方向に頭を動かすなどの不意の動作などで生じます。本来急性疼痛ですので、3-4 週間ほどでおさまってきますが、むちうち=頸椎捻挫という急性の強い運動器障害後の病的新生血管の遺残に加えて、疼痛による一定の動作制限やそれに伴う血流障害や筋活動性の低下(筋収縮/弛緩運動能や滑走性の低下)、疼痛ストレスによる過度の筋緊張、かばうなどの不良な姿勢による負荷の偏りなどが原因でこじれていたものと思われます。特に、元々身体が硬い方やこりが強い方は要注意です。頸部の痛みは全身の不調につながることも少なくありませんので、なかなか治らない場合、とにかく早く治したい場合、繰り返し起こしていて根本的な治療をご希望の場合は運動器カテーテル治療をご検討いただくとよいかと思います。

筋膜性疼痛症候群の詳しい病状説明はこちら

 
 

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