膝:変形性膝関節症など

【50代:女性】なすすべもなくジリ貧だった進行性の変形性膝関節症に対してカテーテル治療および肥満治療が奏功した実例(変形性膝関節症、肥満)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

2年前に駅のホームで走った際に、左膝が腫れて痛くなりました。整形外科では変形性膝関節症と診断されました。水が溜まっていたため、2週間に亘り毎日水抜きとヒアルロン酸注射に通いましたが改善しませんでした。MRI検査を受けたところ、左内側半月板損傷と診断され、リハビリも併せて行うようになりました。1年近く通院を続けて、水は溜まらなくなりましたが痛みは改善しませんでした。かばっていたためか、1ヶ月前からは右膝まで痛むようになりました。元々肥満がありましたが、動けないことでさらに1年で体重が4kg増えてしまいました。両膝治療希望で当院を受診されました。

診察時の所見

レントゲンでは右に中等度(KL-2)、左に中等度~高度(KL-3程度)の内側型の関節変形を認めました。エコー検査では右では早期の、左では進行した変形性変化および炎症所見を認めました。水腫は無く、骨髄病変を示唆するような所見も認められませんでした。まだ外科手術適応ではなく、カテーテル治療の適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。治癒促進、進行および再発予防のために併せて肥満治療も進めていくこととしました(同日、マンジャロ初回投与)。負担軽減のためインソールも作ることとしました。

治療の所見

血管造影を行うと、比較的軽症と思われた右膝でも各部位でモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。図では下行膝動脈、外側下膝動脈を示しています。左膝では、より豊富にモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。特に内側下膝動脈、外側下膝動脈で顕著でした。いずれも治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、膝の痛みは変わりありませんでした。体重は3kg減少しました。治療後1ヶ月、痛みが半減し周囲の人からは歩き方が良くなったと言われました。寝るときも楽になりました。治療後2ヶ月、しばらく同じ姿勢をした後に立ち上がる時に痛みが出るものの、動き出せば解消され、以前よりも歩けるようになりました。治療後3ヶ月、元の8割以上の症状が改善し痛みで支障をきたすことは無くなりました。減量も順調に進み、BMI 29まで減少しました。治療後4ヶ月、長時間歩行で負担がかかった際に痛むことはあるものの、通常の日常生活で痛むことは無くなりました。減量は順調で血圧も下がってきました。健康になっている実感がありました。治療後5ヶ月、血圧の薬を止めることができるようになりました。膝の圧痛は完全に消失しました。治療後6ヶ月、2km以上続けて歩くと痛むことはあるものの、日常生活では引き続き順調に経過されていました。BMI 26.0まで減少しました。

中等度以上に進行した変形性膝関節症で、一般的な保存的治療ではコントロール困難な症例でした。人工関節を要するほどではなく、カテーテル治療の良い適応でした。減量にも一緒に取り組んでいただいたことで、非常に順調に経過されています。BMI 32→26の変化はかなり大きな変化です。降圧薬が不要となるほど血圧が正常化したのも嬉しい副産物でした。変形性膝関節症は進行性の病気ですが、この様子だとかなり長持ちさせられそうです。肥満は膝関節にとり大きな負担となりますが、実はそれだけでなくモヤモヤ血管が増えやすくなってしまいます。同じ程度の変形であっても、炎症が助長されてしまうのです。こうした場合、単にモヤモヤ血管を減らしただけでは再発リスクが高いのですが、肥満も解消していくことで、物理的な負荷軽減に加えて炎症体質の改善につながり、そのリスクを大幅に低下させることができます。本症例のように血圧が低下し、睡眠の質が改善したり活力が向上したりと良いことばかりです。これまで悪循環だったものをすべて好循環に変えていくことができます。これだけの変化が起こると、医療者としても大変やりがいを感じますし、嬉しい限りです。益々の健康増進を引き続きサポートしていきたいと思います。

関連記事