【80代:男性】高齢男性の腕に生じた発症２ヶ月の帯状疱疹後神経痛に対するモヤモヤ血管治療（帯状疱疹後神経痛）

２ヶ月前に、左腕に帯状疱疹ができました。発疹が１ヶ月程度でおさまった後もズキズキと痛み、少し触れただけでビリビリとすることもありました。痛みは日によって異なり、すごく痛い日と、そうでもない日がありました。鎮痛薬はあまり効果がありませんでしたが、入浴すると少し楽になりました。発症初期は食欲が無くなり体重が落ちましたが、最近は戻ってきました。高齢の割に元気な方でしたが、帯状疱疹にかかってから痛みで気力がなくなり、以前よりも活動量が減り、テレビの前に座っていることが多くなりました。週単位では改善傾向がみられるものの、認知症の進行なども懸念されるため、少しでも早く治した方が良いのではないかと思い当院を受診されました。
＊内服薬；カロナール、ロキソプロフェン、トラマドール、タリージェ、桂枝加朮附湯

上腕外側～前腕中央屈側/外側まで色素沈着および一定の圧痛がありました。診断は帯状疱疹後神経痛です。高齢ではありましたが、発症２ヶ月と罹病期間が短いことから十分治療効果が期待されたため、病的新生血管（モヤモヤ血管）に対する微細動脈塞栓術（運動器カテーテル治療）を受けていただきました。首の高度可動域制限がみられるほどの首肩こりも合併していましたが、疼痛部位の腕にも良い影響が期待できるため、首肩こりに対する治療も併せて行いました。

首こりの主要血管である深頸動脈の造影を行うと、モヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。続いて、患部である上腕～前腕の各血管に対して治療を行い終了しました。それぞれ再現痛も確認できました。
＊再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療後２週間、まだ大きくは変わりませんでした。治療後１ヶ月、鎮痛薬はカロナール以外服用を中止していましたが、波があり痛くない日と痛む日がありました。その後順調に改善し、治療後３ヶ月では、たまに違和感がある程度で、ほとんど痛みは感じなくなりました。カロナールも中止していました。炎症の強い激しい帯状疱疹後神経痛ではありませんでしたが、高齢者の場合、食欲低下、活動性の低下から寝たきり、認知症の進行に至ることが懸念されます。ご家族がご心配されたように、とにかく早く治すことが重要です。発症２ヶ月で治療を受けていただけたので、こじれることなく、ほぼ完治させることができました。本当に良かったと思います。８０歳以上になりますと、カテーテル治療の有効性が低下してくる傾向がありますので、より早期に治療を受けていただくことをおすすめしています。