SIRVA:コロナウイルスワクチン接種後の疼痛

【70代:男性】免疫抑制剤も効かない・・新型コロナウイルスワクチン接種後遺症/副反応によるリウマチに対するモヤモヤ血管治療(新型コロナウイルスワクチン接種後遺症/副反応、covid-19)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

2年前、新型コロナウイルスワクチン接種後にリンパが腫れて収縮期血圧が200mHgを越えるほど上昇し、めまいと吐き気がして立てなくなりました。1週間くらい横になり体調は戻りましたが、2-3ヶ月して急に肩と手首が痛くなり動けなくなりました。病院を受診しましたが、その時は原因がわかりませんでした。リウマチ専門医を受診して関節リウマチと診断されました。ステロイドと免疫抑制剤の治療を受けて血液データ上は炎症の値が陰性化するなど改善しましたが、両手首と両肩の痛みが取れませんでした。当院の治療を知り受診されました。

診察時の所見

レントゲンで肩関節に問題はありませんでした。エコー検査では、肩関節・手関節ともに強い炎症所見を認めました。異常血流信号を豊富に認めたほか、上腕二頭筋長頭腱の周囲には水も溜まっていました。一方、関節破壊はありませんでした。関節リウマチによる両肩関節周囲炎、手関節周囲炎の診断です。ステロイド・免疫抑制剤治療により血液検査上は良好にコントロールされているにもかかわらず強い痛みが残っており、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)の適応でしたので、治療を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、肩関節では、胸肩峰動脈、前上腕回旋動脈などでモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。手関節でも、尺骨動脈、骨間動脈などで同様にモヤモヤ血管が豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療当日から改善してきました。治療後1ヶ月の再診時には、治療したすべての部位の症状が改善しており、痛みが無い時のように1km泳ぐこともできるようになりました。エコー観察では、上腕二頭筋長頭腱水腫は消失していました。その後も再燃することなく順調に経過し、治療後6ヶ月の確認時でも、痛みはほとんどないとのことでした(1/10程度とのこと)。まだ追加治療の余地はありそうですが、検討するほどではなく様子見となっています。経過から、新型コロナウイルスワクチン接種後に引き起こされた関節リウマチだと考えられます。予防するためのワクチンでこうしたことが起きるのは非常に残念ですが、現実に報告されています。不幸にして苦しんでおられる方のお役に少しでも立てればと思っています。関節リウマチをはじめ、多くの膠原病では炎症を伴います。微細動脈塞栓術は、強い炎症には非常に有効であり、早期から改善されことが多いです。ステロイド・免疫抑制剤でもコントロールできない場合、こうした薬剤を使用できない場合、あるいはとにかく早く症状を改善したい場合にご検討いただくとよいと思います。

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