膝:変形性膝関節症など

【60代:女性】切らずに治す!中等度の変形性膝関節症に対するモヤモヤ血管治療(変形性膝関節症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

以前から時々膝を痛めることがありましたが、1ヶ月前に急激に両膝の内側を痛めました。整形外科では鵞足部炎と言われました。歩けないほどの激痛は少しおさまったものの、特に左膝は全体的に痛みが残っていたため当院を受診されました。

診察時の所見

鵞足部のほか、内側部や、膝のお皿の上側にも強い圧痛がありました。レントゲンでは内側の関節裂隙狭小化など、中等度の関節変形を認めました(KL分類(Kellgren-Lawrence分類2)。エコー検査では特に左膝関節内側にてモヤモヤ血管を反映した異常血流信号を認めたほか、軽度水が溜まっていました(膝蓋上嚢水腫)。鵞足炎は単独で起こることもありますが、変形性膝関節症に伴い起こっており、診断としては変形性膝関節症と判断しました。病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の適応であり、治療を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、両側とも鵞足部にモヤモヤ血管を認めましたが、左膝では強い炎症を反映して、全周性に濃染像として豊富に描出されました。写真では、下行膝動脈、外側上膝動脈、外側下動脈の各血管造影におけるモヤモヤ血管を確認できます。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後1週間で激痛は完全に消失しました。治療後1ヶ月、残っていた痛みも完全に無くなり、走れるようになりました。圧痛も消失し、エコー検査でも異常血流信号が完全に消失していました。その後も順調に経過し、仕事の負担や階段使用により一時的に悪化することはありましたが自然軽快しました。治療後3ヶ月でも痛みなく経過していました。
比較的強い炎症を伴った変形性膝関節症でした。変形性膝関節症は必ずしも変形が進んだ方が痛いわけではなく、むしろ早期の方が強い炎症が生じる場合があります。カテーテル治療は炎症を鎮める効果が非常に強力ですが、強い炎症を反映して、治療後早期から改善しました。変形自体はまだ高度に進行しているわけではなく、靴・インソールを整えることで、まだまだ長く保たせることが十分可能です。カテーテル治療の適応としては、良い適応でした。今後は再発予防、進行予防に努めていただきたいと思います。

変形性膝関節症の詳しい病状説明はこちら

 
 

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