腰:椎間関節炎など 【90代:女性】超高齢女性を襲った、尻もちからの腰痛(変形性腰椎症、腰椎終板炎、棘間靭帯炎、筋・筋膜性疼痛症候群) 2024.05.17 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 4年4ヶ月ほど前に、変形性腰椎症による慢性腰痛に対して当院で微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を行い、以後積極的にジムに通って運動を続けることで、大変良好に経過しておられた方です。今回、2週間前に自宅で尻もちをついてから左腰部を強く痛めてしまいました。近医でのレントゲンでは異常なく、幸い圧迫骨折等は起こっていませんでした。しかし、中々痛みがとれず、ジムに行っても運動することなく入浴だけで帰ってくる日々となってしまっていたところ、当院のことを思い出し受診されました。 診察時の所見 下肢に放散するような神経症状はありませんでした。歩容は問題ない一方で、前屈以外の腰の動きは高度に制限されていました。触診すると、腰椎周囲の筋緊張が非常に高まっていました。少なくとも新規の重篤な病変はなさそうであり、まずは急性腰痛として応急的に注射を行いました。その後、ご遠方でもありしばらく受診が途絶えていたのですが、3ヶ月ほど経ったある日、歩行はできるものの痛みが全体に広がっているとのことで再診されました。前医のMRIでは、椎間板変性の他、腰椎終板炎や棘間靭帯炎などがみられました。筋・筋膜由来の疼痛も合併しており、微細動脈塞栓術による改善が見込まれましたので、治療を行いました。 治療の所見 やはり、超高齢を反映して動脈硬化は高度に進行しており、治療中のカテーテル操作には非常に難渋しました。画像では、左右腸骨動脈の高度屈曲蛇行が確認できます。通常、こうした骨盤領域ではモヤモヤ血管が画像上は描出されにくいのですが、痩せ型でもあり閉鎖動脈においてDSA撮影を行ったところ、モヤモヤ血管が造影剤の濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。腰椎~股関節周囲レベルまで広範囲に治療を行い終了しました。 治療後の経過 治療後2週間、多少痛みが良くなってきたものの、まだ夜に痛みで目が覚めることがありました。自転車には30-40分といくらでも乗れるようになりました。治療後1ヶ月くらいから症状は大幅に改善し、9割以上の痛みはとれました(0-1/10程度 )。快適に過ごせるようになり、ジムでの運動も再開しておられます。とても90歳代とは思えないほど、動きもきびきびとしていて大変若々しい方ですが、これからもまだまだ元気に過ごしていただけそうです。本症例のように、たとえ90歳代であっても、カテーテル治療を受けていただくことは十分可能です。高齢だからとあきらめる必要はありません。ご参考にしていただけますと幸いです。 腰椎椎体終板障害・棘上靭帯炎・筋筋膜性腰痛症の詳しい病状説明はこちら 【70代:男性】7年にわたり悩まされた右前胸部~背中の帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹後神経痛、新型コロナウイルス感染後の悪化) 前の記事 【70代:女性】半月板手術後に進行した変形性膝関節症(半月板手術、変形性膝関節症、膝蓋下脂肪体炎) 次の記事
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