肘:テニス肘・ゴルフ肘など

【10代:男性】短い休養期間で治すことができた、中学1年生ピッチャーに生じた野球肘の痛み(野球肘)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

野球がきっかけで、8ヶ月前に右肘の内側に痛みを生じるようになりました。整形外科では野球肘と診断され、安静のうえ湿布などの保存的治療を続けることで、半年くらいで一旦痛みが無くなったため、投手・捕手以外のポジションで再開し、その後投手・捕手も再開したところ、また痛みが出るようになりました。3-4日休むと痛みなく投げられるようになるのですが、暫く投げているとまた痛みが出てくるといった具合でした。また、軽く投げている分には問題ありませんでしたが、8割以上の力で投げると痛みが出てきました。当院の治療を知り受診されました。

診察時の所見

エコー観察を行うと、右肘内側のやや中枢測の腱付着部において異常血流信号が増生していました。一方、腱組織は明らかな損傷はなく保たれていました。モヤモヤ血管の関与は明らかでしたので、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、特に尺側側副動脈にてモヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として明瞭に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他、該当する複数個所の血管を治療し、終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

10日間ほど安静にしていただく予定でしたが、1週間経たない内に早期からキャッチボールを再開していました。元々の患部には痛みが出なかったものの少し上の部位がピリッと痛い感じがするとご連絡がありましたが、時期尚早であり、痛みを伴うのであれば自重していただくようお話しました。幸い、治療後2週間の再診時には、全ての痛みがとれていました。患部に対する負荷テストも全て陰性でした。エコー検査ではまだ治癒過程にありましたが、順調に経過されていたため投球再開可としました。その後、1-2 ヶ月は痛みが多少出たりもしていましたが、治療後3ヶ月時点では違和感程度に、4ヶ月時点では全く症状は無くなりました。痛める前と同様に運動をして、投球もバンバンやっているが問題ないとのことでした。その後も順調に経過しています。本症例では大きな組織損傷は伴っていませんでしたので、安静療養期間を短期間としましたが、早期から投球を再開したため、違和感も含めて完全に快復するのには一定の期間を要しました。しっかり安静にしてより短期間で完治させるという選択肢もありましたが、早期復帰の強い希望があったため、投げながら治すということを選択しました。順調に経過されてなによりです。

野球肘の詳しい病状説明はこちら

 
 

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