首:首こりなど

【30代:男性】首肩こりに加えて、鬱、睡眠障害の救済に成功したモヤモヤ血管治療

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

6年前から首肩こりがありました。3ヶ月前に40度の発熱の後に左脳がザーッとなり、うつ病を発症しました。以来、肩こりがひどくなり、耳鳴り、食いしばり、不安感、睡眠障害も伴うようになりました。睡眠薬で入眠しても1時間で目が覚めて、その後も2-3時間おきに起きてしまう状態でした。精神科に通院するようになりましたが、内服治療でも安定せず、食思不振、頻尿、下痢、不安感などが続いていました。頭痛はなく、痺れや麻痺などの神経症状はありませんでした。痛みというよりも、こりが強く、とにかく眠れるようになりたいと願い当院を受診されました。

診察時の所見

首の可動域は保たれており、むしろ柔らかいくらいでした。首肩のこりは左側に偏って中等度に認められました。レントゲンでは頸椎後弯を認めました。いわゆるストレートネック以上に構造的には脆弱であると考えられます。エコーでは左側において優位に、頸椎椎間関節近傍で異常血流信号を認めました(モヤモヤ血管を反映)。僧帽筋が小さく頸部の脆弱性の要因と考えられました。こり自体は高度ではないものの、構造的な脆弱性がありました。コントロール不良の鬱を合併していることから、(痛みを制御する機構である)下行抑制系の機能低下の要素も強いことは明白でした。自律神経失調も伴っていました。以上による複合要因であり、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)+生活習慣改善+運動療法の方針としました。元々の原因は長時間のパソコン作業であり、左側に偏った広範囲のこりを解消するため、治療は左側首肩だけでなく頭部顔面にも行うこととしました。

治療の所見

血管造影を行うと、首こりの主要責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。肩こりの治療を行い、続いて頭部顔面に入っていきました。写真は、顔面動脈の他、頭蓋表層を走る後頭動脈、浅側頭動脈を示しています。その他複数個所の治療を行い終了しました。首肩だけでなく、頭部顔面にも再現痛が認められました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後すぐから血流が改善したような感覚がありました。治療後2週間、不安障害やパニック障害のようなメンタル的な問題が無くなってきました。耳鳴りが減り、肩こりはまだあるものの、強い違和感が緩和されました。神経過敏な感覚も緩和されてきました。夜間はまだ起きてしまうものの、起床時のしびれが大幅に緩和されました。治療後1ヶ月、元の症状の7割方が改善しました(3/10程度)。奥の方に感じていた嫌な痛みが無くなりました。強く落ち込むことは無くなり、耳鳴りもほぼ消失しました。3-4時間ずつ2回寝られるようになりました。治療後2ヶ月、鬱症状がかなり改善してきました。左後頭部の違和感が減り、5時間程度は続けて眠れるようになりました。3km/日、5日/週のランニングを継続していることも改善に寄与していると考えられました。治療後3ヶ月、6-7時間寝られるようになり、寝起きの辛さが少なくなりました。日中のぼーっとする感じも無くなってきました。治療後4ヶ月、仕事量や活動量が増えました。治療後5ヶ月、しつこく残っていた肩こりも軽くなってきました。パソコン作業を増やしたことで、少し重くなることはありました。メンタル的には安定しており、抗うつ薬は中止しました。服薬するとかえって不調となるため、睡眠導入剤(ルネスタ、デエビゴ)のみとしました。治療後6ヶ月、範囲と頻度が少なくなりましたが、まだ肩と背中の症状が一定程度残存していました。その後7-8時間眠れるようになったことで痛みはさら改善し、肩の動脈注射治療も追加したところ、治療後8ヶ月で背中の痛みがだいぶ減り、痛みを全く感じない時間もできるようになりました。睡眠薬はクービビック25mgのみとなっていましたが、中途覚醒もしなくなりました。強いて言えば夢を見やすいということでしたが、薬の副作用である可能性もあるため折を見て中止することをおすすめしました。ほとんどの症状がとれて、服薬無しでメンタルが安定していること、活動量が上がり仕事も十分にこなせていること、運動習慣を継続できていることから再発リスクも低く、終診としました。

こり自体は高度ではありませんでしたが、メンタルの強い不調に高度の睡眠障害を伴い、難治の状態に陥っていました。1ヶ月で7割方の症状がとれた後も、鬱から脱却し、睡眠障害が改善されるまで相応の時間を要しましたが、ここまでくれば一安心です。日常生活を取り戻すことができて本当に良かったです。慢性痛と鬱の関連性については多数の論文報告があります。慢性痛は鬱を伴いやすく、鬱病は慢性痛を伴いやすい。そして、合併した場合、互いに悪影響を及ぼすことなどが指摘されています。本来、鬱を伴う前に治療することが望ましいですが、鬱に陥っても、このようにカテーテル治療によってメンタルを取り戻すことが可能です。時間がかかるとしても、希望があります。諦めずにご相談いただけばと思います。

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