その他:帯状疱疹後など

【60代:女性】胸(乳房下)に生じた発症1ヶ月半の帯状疱疹後神経痛に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後神経痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1ヶ月半前に、水疱もできるほどの激しい発疹が左胸~背中にできました。皮膚科で抗ウイルス薬治療は受けましたが、その後もヒリヒリ、ズキンズキンする痛みが常にありました。当初は入浴で楽になっていたのですが、変わらなくなってきました。ブロック注射やリリカなどの鎮痛薬は効果がありませんでした。特に夜間痛が辛く、当院受診を決断されました。尚、別疾患のため、プレドニゾロン(ステロイド)やノルスパンテープを長期使用しており症状がマスクされている可能性が考えられました。

診察時の所見

Th12領域の典型的な帯状疱疹後神経痛でしたが、アロディニアは見られませんでした。当初の炎症所見が激しかったこと、夜間痛が生じていること、発症1ヶ月半であることより治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

内胸動脈、胸背動脈、肋間動脈でそれぞれ再現痛を認めました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療当日から楽になり、2週間で痛みは半減しました。ズキーンとした痛みは減り、傷む範囲も縮小しました。前胸部の症状は無くなり、左乳房外側下方に限局するようになりました。その後も徐々に改善が進み、治療後2ヶ月を過ぎると9割方の痛みはとれました。本当に狭い範囲となっているものの、やはり前述の部位に一定の痛みがありました。その後は追加治療を希望されるほどではなく様子見となっています。

本症例ではステロイド長期内服がそもそも帯状疱疹罹患の一因であったわけですが、その後の神経痛については抑制的に働いていた可能性があります。激しい発疹の割にアロディニアなどは見られませんでした。治療後、典型的な経過とは異なる可能性もありましたが、むしろ、非常に早期から改善しました。やはり、治療効果に最も影響するのは発症からの罹病期間です。また、不思議に思われるかもしれませんが、発症当初の発疹が激しい場合ほど治療効果も高く、早期から改善する傾向があります。まさにそれに該当した症例でした。別疾患のためのステロイド内服は引き続き必要であるため、治癒後も帯状疱疹に再感染するリスクが高いです。落ち着いたところでワクチン接種を受けることをおすすめしました。

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