腰:椎間関節炎など

【40代:女性】お風呂掃除をしただけなのに・・身の置き所もないほどの耐え難い腰痛!脊椎側弯、仙腸関節障害を背景とした急性腰痛に対してモヤモヤ血管治療および肥満治療が著効した実例(脊椎側弯、仙腸関節障害、肥満)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年前に強い腰痛を自覚し整形外科を受診したところ、MRI検査にて腰椎ヘルニアを指摘されましたが、痛みの原因とは考えられず手術適応ではないと言われました。一旦落ち着きましたが、数日前にお風呂掃除をしたことがきっかけで夜に再び激痛が生じました。横になると激痛に襲われるため寝ることもできず、ただ立っているだけでも痛みがあり、びっこをひいて来院されました。

診察時の所見

ほとんど前屈もできないほどの状態であり、身体診察困難であることから応急治療を優先しました。注射治療により症状が軽快し、独歩可能となりその日は帰宅されました。翌日にはすたすたと歩けるようになりましたが、夜間痛による不眠状態が続いていました。10日後に再来され、改めて診察したところ、尚も前屈はほとんどできないくらいの高度制限、後屈も中等度制限、側屈や回旋は可能であるものの、左側屈および両回旋で強い疼痛がありました。上後腸骨棘(PSIS)近傍の圧痛が強く、椎間関節や梨状筋部にも圧痛が軽度認められました。前医のMRI画像ではL5/S腰椎椎間板ヘルニアを認めましたが神経圧迫所見は乏しく、やはり痛みの原因とは考えられませんでした。レントゲンでは中等度の脊椎側弯(10歳代から指摘されていたとのこと)、仙腸関節の開大傾向や骨硬化像を認めました。股関節は特に問題ありませんでした。臨床経過と併せて総合的に判断し、脊椎側弯および仙腸関節障害を背景として、急性の腰椎性腰痛(腰椎椎間関節炎、棘間靭帯炎)を合併した状態と診断しました。明らかな慢性要因をはらんでいることから治療適応と判断し、左腰臀部のモヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

左側腰椎~股関節周囲レベルまで広く治療を行いました。画像は腰動脈、腸腰動脈、閉鎖動脈の各血管を示しています。その他複数個所の治療を行い終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、仰向けで痛むことが無くなりました。回数は減ったものの、まだ2-3回痛みで起きることがありました(以前は4-5回)。治癒促進、治癒後の再発予防のために肥満治療も始めました(BMI 28.6;*BMI25以上で肥満と定義される)。治療後1ヶ月半で痛みは消失し、寝返りもうてるようになりました。上後腸骨棘の圧痛も消失していました。治療後3ヶ月、痛みは消失したまま順調に経過されていました。減量も順調に進み5kgの減量に成功しました。その後、一度だけ軽いギックリ腰を起こしましたが2日で自然軽快し、治療後6ヶ月時点でも痛みなく良好に経過されています。BMI<25を目標に減量も続けています。

本症例では、生来の脊椎側弯に肥満が加わることで腰椎および骨盤にかかる負担が増し、慢性腰痛および急性腰痛を発症したものと考えられました。ヘルニアは幸い神経障害を起こしておらず、モヤモヤ血管に対するカテーテル治療の良い適応でした。治療後はまず夜間痛が改善し、1ヶ月半の経過で完全に痛みが消失しました。その後は一度も補助的な注射加療を要することもなく、非常に順調に経過されています。側弯を治すことはできませんが、この方の場合、減量による治療効果がかなり期待できます。腰臀部のみならず、股関節や膝関節、足のトラブルを回避する効果が大きいほか、内科的にも種々の疾患予防になります。今回の受診を、運動器以外の健康増進にもつなげていただき、10年後、20年後により良い人生を送っていいただければ医師としても嬉しい限りです。当院では私自身が総合内科専門医、循環器専門医でもあることを生かし、痛みを緩和するだけでなく、その後の再発予防、健康増進も見据えて、様々な観点から皆様をご支援申し上げております。

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