股:変形性股関節症など

【10代:男性】恥骨が痛くて走れない、スポーツが原因で生じた恥骨結合炎に対するモヤモヤ血管治療(恥骨結合炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

スポーツが原因で、半年前から恥骨が痛むようになりました。日常生活では問題ないものの、ランニングで痛み走れなくなってしまいました。キック動作でも悪化しました。下腹部痛はなく、あくまでも恥骨に限局した痛みでした。MRI検査の結果、恥骨結合炎と診断されました。体外衝撃波治療や鍼治療を受けましたが改善しませんでした。十分安静療養をしてきたにもかかわらず、いつまでも治らないことから当院を受診されました。

診察時の所見

恥骨結合に一致して圧痛が見られましたが、少し広範囲に及んでいました。レントゲンでは恥骨結合が開大しており、結合面の骨表層は不整でした。MRI検査では、脂肪抑制T2強調画像において、恥骨結合周囲に高信号を明瞭に認めました。画像所見からは強い炎症が示唆され、日常生活で症状を生じても不思議ではない程度でした。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、恥骨結合周囲に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数個所の治療を行い終了しました。尚、治療時には恥骨結合における再現痛も確認できました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療後の経過

治療後2週間、激しい動作は控えていたため、まだ良くなっているかどうかはわかりませんでした。恥骨における圧痛は過敏さが無くなったものの、まだ比較的広範囲に認められました。治療後1ヶ月、走った後に少し違和感があるものの、ダッシュしてみても痛まなくなりました。患部を自分で押してみましたが痛くありませんでした。診察では、圧痛は強度・範囲とも大幅に減っていました。経過良好でした。その後、下半身の筋力トレーニングをした際に痛みが強くなることはあったものの、順調に経過し、治療後6ヶ月時点でもほとんど痛みなく過ごせているとのことでした。典型的な恥骨結合炎の症例でした。早期から改善し、再発なく経過されていて何よりでした。

関連記事